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98/12/23
第六回
入魂企画
はじめてのJAZZ
世界一わかりやすいジャズ入門
ジャズ映画大特集
Jazz on the Screen Vol.1




4 ドキュメンタリーの秀作 ジャズの世界を覗き見る








ワイルド・マン・ブルース
Wild Man Blues (1997 米 カラー 102min.)

 
スタッフ
 

監督
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. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . バーバラ・コップル

 
出 演
 

主人公. . . . . . . . .
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. . . . . .ウディ・アレン
その不倫相手 . . .
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スン・イー・プレヴィン
主人公の妹 . . . . .
. . . . . . .
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. . . .レティ・アロンソン
バンドリーダー . . .
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. . . .エディ・デイヴィス
バンドメンバー . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
シンシア・セイアー他

 




■ 映画より面白い?ウディさんの日常

 この特集を製作中に公開され、慌てて観に行った最新作『ワイルド・マン・ブルース』はジャズメン、ウディ・アレンのツアー・ドキュメンタリーである。ウディがジャズメン?そう、映画監督にして俳優でもある彼は、本格派のジャズ・クラリネット・プレイヤーという顔も持つ。
 '97年、そのウディが自らのバンドを引き連れて、ヨーロッパ18都市での公演旅行に出た。ホールはどこも数千人規模、しかも当時、前妻ミア・ファーローとの裁判沙汰で世界中のマスコミから注目されていたウディの不倫相手(?)、養女スン・イーを連れて。ウディとスン・イーはこの直後に無事結婚。もしかしたら「自家用飛行機で楽しい婚前旅行」を気取ったのかもしれないが、ウディも街もマスコミも、どこへ行っても大騒ぎなのだ(笑)。

 ここまで笑ったジャズ映画(?)は初めてである。「ウディの監督作品よりも面白い」(英国『デイリー・ミラー』紙)というキッツイ評もあったが...確かに私も最近の2〜3作品よりは面白いかな、などとふと考えてしまった(笑)。
 102分にわたって観ているうちに、ドキュメンタリーなのか、ウディ主演のドタバタ喜劇なのか判らなくなってくる。それくらいにウディの「日常」、ウディという人物そのものがユニークなのだ。言うこと、やること、そして街までもがまるで彼の映画の様に流れて行く。だって、公演予定だった大劇場が行ってみたら火事で焼け落ちていたりするんですよ!(笑)。

 あまりバラしてしまうのはルール違反だが、抱腹絶倒の言動をエピソードを少々。

 軽いジャブが始まったのがツアーのオープニング、マドリッドの楽屋からだ。ツアー初日に際して、ウディが一言。「気楽に行こう。理論的には楽しいはずだ」−この理屈っぽさがウディである(笑)。
 続くヴェニスでいきなりの大騒ぎとなる。まず公演前に火事のために劇場が焼失。急遽別な場所での開催となる。そしてその収益を焼失した劇場の復興費用に寄付したりもする。すっかり善人のウディだが、皮肉屋ぶりも発揮、市長に呼ばれて記念品を貰った直後に「気をつけよう、市長は敵が多い」と言い出す(ヴェニス市長は英語が判らないのか?)。
 更にゴンドラに乗って市内を廻ると、街の人々からヤンヤの喝采。しかしウディは一言、「映画は観ないくせに、ゴンドラで通ると喜ぶ」。
 ドキュメンタリー専門の女性監督による作品だが、ウディの映画を思わせるとぼけた演出もあった。ここヴェニスで「ヘタだと思うがね、なかなかがんばってるじゃないかという感じで観たいね」と語り劇場に入って行った老人を、終演後、出口で捕まえうって変わっての絶賛の言葉を得るあたりは、ちょっとウディ風。

 ミラノでも大事件発生。アンコール開始と同時に大劇場全体が停電してしまったのだ。真っ暗なステージにカンテラを置いて、演奏も、ヴォーカルもPAなし。全て生音での大奮闘。この姿、ちょっと感動的であった。しかしこれ、本当に「アクシデント」なのかなぁ(笑)。まるで『ラジオ・デイズ』('87)あたりのウディの映画そのものって感じだったけれど...。更にこの時のウディの冷静な態度が「数千人の観客達をパニックに陥れることなく...」とかなんとかで、市の消防局から表彰されて、記念品を貰ったりするのだ。もう、感心するやら、可笑しいやらで...。
 ローマではレセプション・パーティーで放言。連れのスン・イーを紹介するウディ−「こちらがスン・イー。あの悪名高い女性です」。

 ボローニャのホテルには前の晩から集まり始めたという何百人ものファンに挨拶。「ウディと同じホテルだったと言っても、写真がないと主人が信じないので」というムチャクチャな理由で記念写真をせがむ婦人(ほとんどウディの映画のキャラクターだな)とのやりとりも笑わせてくれる。
 最後の公演地、ロンドンはなんとロイヤル・フェスティヴァル・ホール。オシマイは気持ち良く、と思いきや「ロンドンはイヤだな。出来が悪いと英語で罵(ののし)られる」。そういえばフランスのどこかで、アンコールをせがむ声に対して「え?フランス語は判らないんだ。喋れるけれど、判らない」とフランス語で応えるシーンもあったな。

 おふざけばかりではなく、パリでのインタヴューシーンではウディの映画に対する姿勢が語られる。ここでウディは「思春期に興味のあったものを撮るんだ」と断言する。なるほどウディの作品に一貫する、あのほんわかとした微熱感は思春期のそれであったか。

 そしてラストはニューヨークに戻り、実家で両親と対面。ウディそっくりの母親と、96歳の父親。この2人こそこの映画最高の目玉で、もうウディの映画そのもの!という感じなのだが...これは観てのお楽しみとしよう。'98年12月末まで東京にて公開。以降、全国ロードショーとなるはずだ。大推薦作品である。あなたの街にやって来たら、是非!




In Paris



In Venice 


■ 一応ジャズファンの目

 しまった。喜劇ではないのだ。ジャズいついての解説を。彼らが演奏していたのは超正統派のニューオーリンズ(デキシーランド)・ジャズであった。タイトルとなったサッチモの「ワイルド・マン・ブルース」の他、「ロンサム・ロード」や「シャイン」といった歴史的名曲も数多く聴くことが出来る。ミュージック・ディレクターを務めたエディ・デイヴィス(banjo)は「ロックン・ロールみたいに古臭いけれど、みんなが楽しめる。そんな音楽を演り続けて行きたい」と語った。またしても、サダナリのマイブーム、クラシカル・ジャズの物語であった。

 ジャズ・プレイヤーとしてのウディの力量は...驚いた。ヴェニスの老人同様、「どうせヘタクソ」と思っていたのだが、これが非常に巧いのだ。途中パリではクラリネットの最高峰、ビッフェ・クランポンの本社工房を訪ねるシーンもある。ここでは全体が金属で出来た極めて珍しい初期型のクラリネットを吹かせてもらう。「これこそ我々のバンドに必要なサウンドだ!譲ってくれ!」とダダをコネるが、「店に伝わるものですので...」と丁重に断られる。有名人も特別扱いせず、きっぱり断ったあの楽器商、なかなかの人物だなぁ(笑)。

 しかし改めて考えると、ここまで広範囲に、街の様子を含めてのツアー・ドキュメンタリーというのは、ありそうでなかったのでは。ツアーというものの楽しさと辛さがひしひしと伝わってくる秀作である。観ているうちに私もバリトン担いで全国を旅したいような、イヤ、したくないような...。

 しかし、とにかく、ファンとパパラッチがスゴイ。特に本場イタリア(フェリーニのサントラがさりげなく使われている。要チェック)。何気なく街を歩くウディとスン・イーの前に、カメラを構えたまま後ろ向きに歩く数十人のカメラマン達!。ひたすらシャッターを押し続ける彼らにウディが一言、「いい加減にしたら。さっきから同じ写真ばかりじゃないのかい?」。







真夏の夜のジャズ
JAZZ ON A SUMMER'S DAY (1959 米 カラー 88min.)

 
スタッフ
 

監 督
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. . . . . . . . バート・スターン
音 楽
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. . . ジョージ・アヴァキアン

 
出 演
 

演 奏. . . . . . . . .
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. . . .ジミー・ジュフリー(ts)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . . . セロニアス・モンク(p)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . . . . . アニタ・オデイ(vo)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . .ジョージ・シアリング(p)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . . ジェリー・マリガン(brs)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . . . . .チコ・ハミルトン(ds)
 〃 . . . . . . . . . .
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. . . .エリック・ドルフィー(fl)
 〃 . . . . . . . . . .
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マヘリア・ジャクソン(vo)他

 




■ '97年 リヴァイヴァル顛末記

 この映画『真夏の夜のジャズ』については'97年8月、このページのスタート時に大々的に紹介した。当時、丁度都内で11年振りのリヴァイヴァル上映が行われており、秋から冬にかけては全国各地でも上映された。フィルムの移動に合わせて、札幌から、名古屋から、「観ました!最高でした!」というメールを頂きホームページ製作者冥利に尽きる思いをした、しかしだ、実は'97年のリヴァイヴァルは、私が初めて観た'86年のリヴァイヴァル上映とはいくつかの相違点があったのだ。

 まずはプログラムが酷かった。『オリーブ』からの転載や、'60年の『婦人画報』からの転載が目立ち、オリジナルのコラムはファッション関係のひとつのみ。某DJ&ライターの対談がまぁマシだが...これだけ。これでオシマイ。あとは10人ほどのジャズメンと監督の極めて簡単な紹介があり、オシマイ。そしてこれ(ペラペラです)で\800なのだ!3色刷りで印刷もヒデェ!イカした写真なんかありゃしない。
 粗悪なプログラムを糾弾するホームページなんてのがあるのだが、'97年版プログラムはあのページに出てもおかしくない。数年前の『ナック』('65・英)リヴァイヴァル以降、どうも「オシャレ映画商法」の様なものがハビコり、好奇心旺盛な少年少女達から暴利をむさぼっているヤカラがいる様に思うのだが、この\800など最たる例であろう。
 ちなみに'86年版プログラムは、そりゃまぁデザインはいかにも「映画パンフ」って感じだったけれど、スクリーンを思い出させるダイナミックなカラー写真がふんだんに使われ、進行に合わせた全曲紹介、ポイントを押さえたメンバー紹介文(なんとサイドメンまで)が見開きで載っていたりもして、なかなかの秀作だったのだ。

 また、これは意見の分かれるところかもしれないが、登場したジャズメンの名前がテロップで出る、出ないという違いもあった。'86年版ではおもだった人物にはサッと表示されていた。「いちいちウルサイ、鬱陶しい」というご意見もあるかもしれないが、タイプライター風のシブイ字体でスマートに表示され、画調を壊すものではなかった。それが昨年はナシ。「オリジナル・プリントに忠実」を取るか、「気になるサイド・メンの名前を知りたかった」を取るかは微妙なところであろう。
 個人的にはサイド・メンの名前をきっちりと紹介することは、アルバムでもライヴでも見られる「ジャズ・マナー」のひとつなので、「あった方が良かったかなぁ...」と思った。まぁ、プログラムには一応書いてあったけれど、それが上記の通りではねぇ...。

 更には非常にマニヤックなところで字幕の違い、日本語訳の大きな相違もあったりした。それについてはかつて作家・村上春樹氏のホームページにサダナリが投稿、村上氏の見解なども出ていたのだが、掲載ページが消えてしまったようだ。いつか再録しよう。

 ともかく、結論。歴史的名画にもかかわらず、「観せかた」が雑だったのではないだろうか?ミニシアターのオシャレな雰囲気に騙されて、なんとも手を抜いた公開形態であったと思う。上映後に発売されたヴィデオもかつてのものは'86年版を、去年出たものは'97年版プリントを元にしているので、テロップや字幕が上記の如く大きく異なっているのだ。

 というわけで、前置きが非常に長くなったが、映画そのものの紹介は去年のこちらをご覧いただくとして、「これだけはハズせない!」という'97年版プリントの「補足」的解説をサイド・メンを中心に少々。プリント・アウトして、ヴィデオを観ながら読むと役に立つかもしれないし、余計なオセッカイかもしれない...。




Anita O'day (vo) 



Louis Armstrong (tp,vo)
& Jack Teagarden (tb,vo)


■ ジャズファンによるかいせつ

 オープニングは幸いにもアナウンスが入るのでメンバーの名前が判る。ジミー・ジュフリーをリーダーとした"ジミー・ジュフリー・スリー"。ドラムレストリオというユニークな編成で人気を博した連中だ。バルブ・トロンボーンという変わった楽器でグルーヴするのがボブ・ブルックマイヤー、演奏中は座っており、最後に立ち上がって画面の下からにゅっと登場するハゲアタマがギターのジム・ホールである。このアングル、いきなりユニークだなぁ。

 ニューポート港などが映り、再び会場へ。デューク・エリントン楽団に在籍したことのあるベテラン達の特別編成オーケストラ、「エリントン卒業生バンド」のリハーサル風景。こここそメンバーに要注意だ。真っ黒なサングラスでピアノを弾いているのは、なんとバリトン・サックス奏者のジェリー・マリガン。ピアニストの創り出す「音の壁」が嫌いで、自らのコンボには決してピアノを入れなかった、ピアノの出す和音の世界を、対位法的な管楽器の和声で出そうとしていたマリガンだが...なんか楽しそうにピアノ弾いてるよな(笑)。
 しかし何よりも傑作なのはその直後に出てくるテナー・サックスの大御所、ベン・ウェブスターだ。なにやらガオガオ吠えているが「こんなの100年前のアレンジだぜ、おい!」などと言っている模様。声、表情、喋り方ともに「うーん、ジャズメンだなぁ」と感じたのは私だけだろうか。

 そして鬼才セロニアス・モンクが登場するが、ここではその前に一瞬映る巨大な黒人女性に注意。彼女は観客ではなくて、"ビッグ・メイベル"・スミスというシンガーで、のちほどステージに登場する。しかし巨大なメイベルと、巨大なスーザホンがひとつの画面に収まるその絵づくりの巧さには唸らされる。
 続いて"チコ・ハミルトン・クインテット"の練習スナップが映るが、彼らの説明はのちほど、ステージに登場してから。ソニー・スティット(ts)を喰っている(ように見える)イイ感じのギターはサル・サルヴァドール。ロックばかり聴いていた'86年当時のサダナリは、このサルのギターには非常にタマゲタ。「へぇ、こういうギターもあるのか」と驚嘆したのだ。
 前半のヤマ場ともいうべき、アニタ・オデイの登場。この演出も面白い、登場直前をステージ裏から撮って...またオデイがヒールに付いたゴミを純白の手袋で取って、しかもそれを衣装で拭いてしまうのだ(笑)。リズムの天才と言われながらも、ガラッパチなお姐ちゃんの雰囲気も漂わせる、愛すべきシンガーである(笑)。

 バッハの無伴奏チェロ曲で練習するネイザン・ガーシュマン(チコ・ハミルトン・クインテット)の姿を挟んで、夜の部へ。思わず身体が動いてしまうゴキゲンなラテン・ジャズはジョージ・シアリング・クインテット。パーカッションが知りたいでしょう(笑)。熱演のコンガはアルマンド・ペラーザ、シブイティンバスはレイ・モスカだ。
 次も名前を出さなければ!ブルースの女王、ダイナ・ワシントンのバックはマックス・ローチ(ds)、アービー・グリーン(tb)、そしてヴィブラフォンはテリー・ギブスという超豪華メンバーなのだ。しかしこうして観るとヴィブラフォンというのもイカす楽器でしょう!(サダナリ実はかなりのヴァイブ好き)。ダイナがマレットを取って、一台のヴァイブを2人で叩くところはこの映画でも見どころのひとつ。

 ここでこの映画の最大のヤマ場(と私が勝手に決めた)ジェリー・マリガン・カルテットの登場!詳しくはこちらのバリトン特集に譲るが、ホント、私この僅か数分で人生変わりました。幸いメンバー全員がアナウンスされるが、ここではベースのビル・クロウに注目か。村上春樹の訳で'96年に出版されたジャズ・エッセイ『さよならバードランド』(新潮社刊)の著者が彼である。
 続いて登場は先程、にこやかに座っていた"ビッグ・メイベル"・スミス、そしてロックン・ロールの神様、チャック・ベリーだが...ドラマーに注目。何やらニヤけながらヒョイヒョイと叩いているのが名ドラマー、フィリー・ジョー・ジョーンズである。「神様と信じていたチャックがダサく見えて...」というのは去年も書いたが、それはこのフィリー・ジョーのニヤケ顔と無縁ではないのだ。「ホイホイ、こんなに単純かい、どん!ロックン・ロールはチョチョイのチョイ、どん!」と叩いている様に見えて仕方がないのだ(笑)。




Chico Hamilton (ds) 



Eric Dolfy (fi)


 さぁ、次は丁寧に。ちょっと前衛的なジャズを奏でるのが"チコ・ハミルトン・クインテット"。こここそ!「名前出せよ!」と思った、いや、激怒した。フルート担当の知的な黒人が、悲劇の大天才、エリック・ドルフィーである。フルートの他、「馬のいななき」と形容されるバス・クラリネットで独特の世界を築いたドルフィー。熱狂的な信奉者も多く、'64年にツアー中のパリで病気のため無念の客死を遂げた事はジャズ・ファンならば「常識」なのだが...名前出ず。もしかしたら配給会社の担当はジャズのことを殆ど知らない人なのか。ジャズ・ファンならば、ドルフィーは外せない。一緒に観た20代前半の若きジャズ・ファンは「動くドルフィーが観られた!」と涙を流さんばかりに感激していたぞ。ちなみにギターはジョン・ピサノ

 いよいよ終盤、サッチモと一緒に名曲「ロッキン・チェアー」を歌うのはジャック・ティーガーデンである。2人が組んでいたのは確か'40年代のこと。その当時のサッチモ−ティーガーデン双頭コンボのファンも多い。するとこの日のセッションは久々の共演なのではないだろうか。しかしサッチモってのはどこまでハッピーなんだろう。良き相棒'Big T'との息もピッタリだ。このあたりを観ていると本当に「あぁ、ジャズっていいなぁ」と痛感するのだが。

 そして、ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンの熱唱で1日の幕は降ろされる。彼女の姿に重ねて写されるエンド・タイトルは"THE END"ではなく、"END OF A SUMMER'S DAY"。最高にクールなコダワリだ。

 '86年の劇場公開版とその後に発売されたヴィデオ・ソフト、'88年8月のフジテレビでの放映では、今挙げたサイド・メン達の名前がスクリーンに出て来た。サイド・メンから拡がる素晴らしい世界(ジャズ地獄?)もあるのだから、これはやはり表示した方がいいのではないかな?。マジメな話、こんな風にサイドメンに注意しながら観ると、2倍も3倍も面白くなって来ませんか?。
 この文章によって、観た方は「是非、もう一回!」、ヴィデオをお持ちの方はたまらずPLAY、そして未見の方は「観たい!」となれば面白いのだが...。









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ドキュメンタリーは隠れた名作続出の
ココロよ





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