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97/10/26
第三回
入魂企画
はじめてのJAZZ
世界一わかりやすいジャズ入門
実践編 「横濱JAZZプロムナード '97」
完全レポート


■ 2日目・10月11日(土)残りは2セッション ■


順番 時間 アーティスト 会場 メンバー ジャンル 写真
撮影
18:00〜19:00 杉浦良三(vib)ラテン・セッション イギリス館 小宅珠実(fl)、M・レズ ニコフ(ds)、稲葉国光(b)、他 ラテン・ジャズ ×
19:00〜22:00 今津雅仁(ts)Fuzz Motion ジャズメン・クラブ   ハードバップ


− ここでちょっと市内の風景を −



市内いたるところで生演奏
こちらは桜木町駅前の
アマチュア・コンボ





関内駅前では地元・神奈川大学の
ビッグバンドが熱演中
みんな思わず足を止める
(ジンダイ)
みなとみらいの「ゆめはまミュージアム」には
「人体の不思議バンド」が出演
ニンゲンの輪切り(ホンモノ)達の
白熱のセッションだ!
(ジンタイ)


■ 11日 18:00〜 杉浦良三(vib)ラテン・セッション [イギリス館]

 エアジンのある馬車道から、市内をちょっと散策しバスで再びイギリス館へ。今日は杉浦良三(vib)ラテン・セッションです。
 さてこの杉浦さん、ヴェテランのラテン・ヴァイヴ奏者としても有名ですが、中華街そばに自らのジャズ・クラブ「ジャズメン・クラブ」を経営し、ここ横浜の顔役でもあります。かなりのご高齢で、電車で見かけたら思わず席を譲りたくなるような雰囲気ですが...。
 マレットを握りしめ、グっと気合を入れた瞬間に目つきが変わった。どわぁ〜、な、なんだこの御老人は!一心不乱にヴァイヴを叩きまくり、速過ぎて手元が見えない。演奏は完璧なカル・ジェイダー・スタイル。しまった、もっと前から観ておくんだった!

 ’カル・ジェイダー’はラテン・ヴァイヴの王者で、私もほんとうに大ファン。実は前回の「最初の1枚」に入れようかどうか迷ったのですが、えい、ここで紹介してしまえ!


出世作「ソウル・ソース」(POCJ-2346・polydor)
ジェイダー聴くならまずはこれから
杉浦さんはここから'Leyte'を演奏
ジェイダー・サウンドが生で聴けるなんて!

しかしこのアルバム、またしてもクリード・テイラー・プロデュース... 
このひとがジェイダー
こちらはアルバム「マンボ・ウィズ・ジェイダー」
(OJCCD-271-2・Fantasy)
今は国内版で簡単に入手可能
最高のパーティー・アルバム

 ジェイダー・ナンバーの他、「キャラバン」や「ベサメ・ムーチョ」なども飛び出して、黄昏時の横浜は正しくラテンに暮れて行くのだった。
 途中、ハタとメンバーを見ると、フルートの小宅珠実は別として、このセッション、年齢が妙に高いぞ。格好が若いから最初は気づかなかったけれど、こりゃウチの親よりも明らかに上だ。そんなお年寄り軍団にノセられてしまうなんて、悔しいような、嬉しいようなヘンな気持ちだなぁ。しかしそんな歳でこのハードな演奏、ジャズってのは一生モノなんだな。よし!私も、彼らの歳になるまで付き合ってやろうじゃないか!

 鬼気せまる形相で演奏していた杉浦さん、曲が終わるとにっこり笑って別人のようになってしまう。「好々爺」という感じのその笑顔に送られて外に出ると、すっかり陽が暮れていました。いよいよ最後のセッションへ、またしてもバスで移動です。


11日19:00ごろ
杉浦セッション終了後
「港の見える丘公園」から撮影
左からマリンタワー、みなとみらい、氷川丸

今この風景の中でも
いくつものセッションが繰り広げられている
そう考えるとちょっと不思議


■ 11日 19:00〜 今津雅仁(ts)Fuzz Motion [ジャズメン・クラブ]




いよいよ最後の店
山下町の「ジャズメン・クラブ」は
このビルの地下2階



今夜もまたこんな雰囲気
今津雅仁(ts)


 2日間の締めくくりはまたしてもクラブ、前出の杉浦さんの店「ジャズメン・クラブ」が今年のラストです。薄暗い(この店は本当に暗い!)店内は超満員。壁沿いは立ち見でびっしりです。

 演奏はテナーの今津雅仁、これがコテコテのハード・バップ、なのに楽しい!笑える!アドリブはさながら「モダン・ジャズの百貨店」といった感じ。次から次へと有名曲のフレーズを折り込んで、マジなのかふざけているのかワカラン!「セント・トーマス−モーニン−アダージョ」など、クラシックまでも飛び出してしまうのだった。
 神戸は六甲の出身と言っていたけど、神戸や大阪のジャズ・クラブではみんなこんなに楽しい演奏をやっているのだろうか?東京の生真面目なジャズがちょっとバカバカしくなってしまったよ。今度、関西ツアー(演奏旅行ではなく観るツアー)やろうかな?
 ガッシリした体格にイカツイ顔つきの今津だが、実はアクションがめちゃめちゃおちゃめ。メンバーへの指示や、アドリブのキメなど、身振り手振りが「かわいぃ〜」って感じなのだ。表情も豊かで観ていて実に気持ちが良かったな。きっとこれからOLとかにも人気が....そこまでは保証しませんが。

 マジメなことを書くと、この今津、演奏曲目がすべてオリジナルというところが素晴らしかった。リクエストを1曲だけ演っていたけど、途中のMCからすると、とにかくオリジナルを発表したくてたまらない様子。往年の名曲に流れがちなハード・バップ界で、オリジナルにこだわるというのは、意欲的で立派な姿勢といえるでしょう。そしてまた、そのオリジナルが良く出来ているんだ。

 ここも1時間ずつ3セット、終了したのは22:00ごろでした。写真やメモのためにと控えていたアルコールを、もう最後だからとたっぷり呑んで、すっかり上機嫌。おかげでメンバー名をメモるのを忘れてしまった。でも、そんな、水割りのおいしい極上のセッションだったということですヨっと、ひっく。


■ さらに紹興酒たらふくいただく....おしまいに

 おしまい。もう観過ぎてしまってなにがなんだか....。「ジャズメン」で友人K君、この日だけ参加の会社の後輩S君と合流。中華街のはずれの台湾料理屋にて遅い夕食。K君とS君は初対面だが、あっという間にソニー・ロリンズの話しなどで盛り上がってしまう。このへんもジャズの良いところだな!

 それでは最後に「横濱ジャズ・プロムナード」の攻略法を2点ほど。

 1.スケジュールは事前に立てるベシ

 なにしろ大規模、どれにしようかなどと当日に迷っていたのではムダな時間がどんどん発生してしまう。JR東日本でタイムテーブル入りのチラシを貰えるので、事前にスケジュールを立てるベシ。その際のポイントはなんといっても場所である。ゆえに横浜の観光地図なども用意するベシ。
 スタイルも多様なので、ちょっと奇抜なものを観てみるのも一興。私の場合はご覧の通り日本人ハード・バップとラテン寄りのセレクションになったが、組み合わせ次第では朝から晩までフリーを聴きまくることも可能だし、本場ニューヨークのミュージシャンを見続けることだって出来るのだ。
 また今年からインターネットでメンバーや演奏時間に関するより詳細な情報も公開されるようになった。正直その情報がなければ上記のような充実したスケジュールは組めなかったと思う。これを活用しないテはないヨ!でも、まぁ、このページを観ている人なら、これは大丈夫ですね!

 2.移動はとにかくバスが便利

 どの会場も駅からはちょっと歩くが、バス停は間近にあった。バスの系統図をどこかで貰っておくと便利だろう。カッコつけて車で回ろうなんて思うと、停めるところがなくてさんざんなメにあうぞ!どうせ陽が暮れれば呑んでしまうんだし。
 私は今回使いそびれたが「横浜市営バス1日フリー券」みたいなのがあると、ジャズもバスもフリーパスで遊びまくれるであろう。来年は買っとこうっと。

 3.誰とどう観る、はお任せします

 これは難しいよ。去年は度々登場する「友人K君」と2日間、同じセッションを見続けましたが、これはネ...野郎ふたり、2日も一緒にいると最後は結構ツライ。「仲のいい友人と旅行に行ったのに、なぜか旅先で...」状態になってしまう。喧嘩とかはしなかったですが、なんか、飽きてるっちゅうか、なんちゅうか。しかも二人で微妙な趣味の違いもあったりして。
 結局今年は最初と最後だけ合わせて、途中は別行動にしました。そしてこれが実に良かった!気楽だし、夜に飲みながら情報交換したりして、結構盛り上がったのだった。ジャズ好きの男性二人の場合はこのパターンをお薦めしますね。今や携帯とかPHSもあるしさ。
 「そんなのイヤ、私たち、1秒も離れたくないの」というアツアツ・カップル(およびホモホモ・カップル)の方々はご自由にどうぞ。イチャイチャしながら観て回って下さいな。でもね「男性熱烈ジャズ・ファン+女性お付き合い」で、男性が異常に熱中しちゃうと、女性ゴネルよ、きっと。「つかれたー、休みたいー」とかさ。ジャズを取るか、人並みの幸福を取るか、私はジャズ取っちゃいましたが....。



 次に事務局にちょっと注文。このイヴェント、出演者はどうやって決まるのであろうか?実は昨年、菊地康正という横浜在住のヴェテラン・テナー奏者が、観客用のバッヂを付けて、あちこちのセッションに飛び入りしていた。いかにも「人選から漏れてしまった」という感じで、観ていて気の毒で仕方がなかった。途中からプレイヤーとして登録することだって出来ただろうに。事務局の冷たさと対照的に、出演者たちがみんな「地元在住の名プレイヤーです」と温かく紹介していたのが印象的だった。
 きっと今年はどこかでセッションをやるだろうと思ったら....やらなかった。飛び入りもしていなかった模様。横浜うんぬんいうのならば、事務局はまずは地元に誰がいるのか調べるべきだろう。
 菊地康正といったらヴァン・ダイク・パークスのバックでタナ・アキラと共演したり、本場モントルーのジャズ・フェスにも出演しているくらいの人物なんですよ!それがフリーパス・バッヂとは、ちょっとひど過ぎませんか。
 来年はこのイヴェントで彼のスーパーユニット'Sax Machines'のライヴを是非観たいものである。「横浜在住のプロのみの臨時セッション」なんてアイデアだってあるのに。事務局、意外に気がきかない....。




 さて、いかがだったでしょうか。ライブの感じは伝わりましたか。これを書いている今日(10月25日)も東京は阿佐ヶ谷で「阿佐ヶ谷ジャズストリート'97」という同様のイヴェントが行われています。メンバーを見ると....し、しまった!谷口英治が出ている!今から支度して間に合うかな...落ち着いて、落ち着いて。こほん。こうしたジャズ・フェスティヴァルこそ、はじめてナマでジャズを観るという人にうってつけなのではないでしょうか。
 時間も昼だし、料金も格安、ちょっと敷居の高いジャズ・クラブも地図付きでフリーパスになってしまうのだから、初心者のためのイヴェントともいえるのでは。それで場所やしきたりを覚えて、あとでゆっくり来ればいいわけですよ。ね、便利しょう。
 「そんなの東京とか、横浜だけだよ」そうでしょうか?確かに街中でフリーパスってのは中央だけかもしれませんが、屋外のジャズ・フェスは地方のほうが盛んでしょう。私がちょっといた青森県八戸市でも夏になると山奥で大きなジャズ・フェスが開かれて、錚々たるメンバーが出演していました。まずはフェスティヴァルでナマに触れて、ホール、クラブと駒を進めるのが、ま、よろしいのではないかと。
 ジャズ・フェス、本当に日本中でやってますからね。意外に、日本ってジャズの国なのかもしれない、な....。

 以上、来年行かれる方のご参考になれば幸いです。私も来年も...また観てしまうんだろうな、牛丼食って、バス乗って....。
 しかし、このイヴェント観るツアーってないのかな?事前に、こう「これとこれがいいですよ」とかスケジュールの手助けして、前後の宿泊付いて、交通機関のパス付いて、中華街あたりでちょっとしたパーティーもあったりして。ガイドやりますって旅行代理店に売り込もうかな。横浜もジャズも両方詳しいぞ!それともこのページで企画しようか?「サダナリ・デラックス・プレゼンツ」とかね。


11日22:00すぎ
横浜スタジアム横の中華街玄武門にて
へろへろになっているサダナリの図
胸にはバッヂ、首からカメラ
往年のJALパックの様な出で立ちである

撮影は「友人K君」こと
ジャズ仲間の甲斐誠君

おわったぁ〜....





はじめてのJAZZ/世界一わかりやすいジャズ入門
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