99/03/14 部分更新 若人のための 日本映画入門 戦後黄金期編 |
定期上映館・自主上映会で観る [ 東京編 ・ 全国編 ] |
東京近郊 [
まさに映画の博物館 ] |
東京一、いや日本一有名なのが、東京・京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターでしょう。ここはまさに日本映画の博物館。正確に言うと日本映画だけではないのですが、昭和初期の名作から現代の秀作まで、まんべんなく上映してくれます。 恒例となった「特集・逝ける映画人を偲んで」では意外な作品も登場します。国立とはいうものの、亡き映画人のご冥福を祈りつつ、『縞の背広の親分衆』(昭和36年/川島雄三監督/フランキー堺出演)なんて超B級喜劇もやってくれちゃうのだ(笑)。 あ、いやいや、喜劇だけではないな...アンナパパの代表作『不良番長』(昭和43年/野田幸男監督/梅宮辰夫主演)、日活ロマンポルノの金字塔『一条さゆり・濡れた欲情』(昭和47年/神代辰巳監督)、梶芽衣子の『女囚701号・さそり』(昭和47年)に勝新の『兵隊やくざ』(昭和40年)なんて大井武蔵野館のレイトショー並のカルト作もやっている。 お、松竹ヌーヴェルヴァーグもあるぞ、『悪人志願』(昭和35年)か。そうだ、田村孟さん亡くなったんだったなぁ...。 ピチカート・ファイヴ・デビュー前の小西康陽氏が日参し、市川崑と"出逢った"のもここだそうです。なにしろ国立ゆえ大人\410、学生\250という料金も嬉しい。 その他、東京近郊では川崎市市民ミュージアムやパルテノン多摩などが不定期ながら上映会を行っています。こうした上映会、いわゆる「商業ベース」とは別な感覚で運営されるのでセレクションがユニークで目が離せません。名画座衰退の昨今、日本映画探究の"台風の目"と言えるでしょう。 '98年10月に川崎でやった「スポーツ映画フェスティバル」なんてユニークな企画だったなぁ。市川崑の『東京オリンピック』(昭和40年)や『太平洋ひとりぼっち』(昭和38年)、本人登場の『鉄腕投手稲尾物語』(昭和34年/本多猪四郎監督)に、寺山修司の『ボクサー』(昭和52年)、更にATGの『サード』(昭和53年/東陽一監督)まで。うーん、しっかりしたセレクションだ。そして、なんと、入場無料。川崎市ってのは文化的なところだ!。 多摩の企画も素晴らしかった。つい先日、'99年2月の「NIPPONの才能?〜日本映画の黄金時代」は、まさにこのページの「実践編」。紹介した小津の『晩春』、溝口の『雨月物語』、成瀬の『流れる』をはじめ、豊田四郎の『夫婦善哉』(昭和30年)や谷口千吉の『ジャコ万と鉄』(昭和24年)など全7タイトル。評論家・品田雄吉氏の講演も行われて、これで料金は3本\1000。こちらも多摩市からの助成金で運営されている財団法人多摩市文化進行財団の企画。素晴らしい!。 しかし、ここまで並べると...我が地元・品川区に上映会がないのが悔しい。大井武蔵野館なき今、公営で定期上映をやるべきデハナイノカ?。オープニングは当然、地元品川遊廓を舞台とした大傑作『幕末太陽傳』(昭和32年)だな、シッシッシ(笑)。もしもやるなら不肖サダナリも手伝うでゲス。 監督研究団体の発掘上映会なんてのもアリ。川島雄三監督の研究団体、カワシマクラブは紛失作品の再プリントまで行って、上映会を行っています。詳しくはのちほど「日本映画リンク」のコーナーから。 |
川崎市市民ミュージアムの案内 正しい税金の使い方 |
こちらはパルテノン多摩 書かれている名前は 小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男 内田吐夢、市川崑、黒澤明、 笠智衆、原節子、京マチ子、田中絹代 山田五十鈴、高峰秀子、森繁久彌、淡島千景 三船敏郎、などなど.... |
■ 東京国立近代美術館フィルムセンター | |
ホームページあり。最新スケジュールの他、過去の上映作品も見られます。 | |
http://www.momat.go.jp/fc.html |
■ 川崎市市民ミュージアム | |
日本映画の他、ヨーロッパ映画にも強い。映画以外も非常にユニーク。 | |
http://www.dnp.co.jp/museum/kawa/kawa.html |
関西・中部 [
今は亡き映画人に逢える場所 ] |
東の雄がフィルムセンターなら、西の雄は京都文化博物館だ。さすがは歴史のある映画の都、山中貞雄や伊丹万作、衣笠貞之助といった戦前の名作に強い。 残念ながら行ったことはないのですが、インターネットでラインナップを見ると「え?山中貞雄の『磯の源太・抱寝の長脇差』(昭和7年)なんて現存しないのでは?」というものも登場。なんと「発掘された断片」も上映してしまうのだ。脱帽!。やはりここも一般\500、大高\400なんて料金です。 「邦画名画座がない」と書いた名古屋ですが、定期上映館はある様です。名古屋市博物館の家族映画会、名古屋懐かしの映画鑑賞会ではまさにこのページで採り上げたような戦後黄金期の作品を上映。『青い山脈』(昭和24年/今井正監督)などを上映する後者は300回以上続けられています。そして前者はなんと無料!、『キクとイサム』(昭和24年/こちらも今井正)などが採り上げられています。 |
昭和9年 山中貞雄と小津安二郎 彼らに逢える場所... |
■ 京都文化博物館 映像情報室たより | |
こちらもホームページあり。ラインナップを見ているだけで唸ってしまう。 | |
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/mk-pai/ |
東北 [
実はいろいろやってるのだ ] |
前頁で「自主上映が頼り」と書いた仙台ですが、確認したのは「のんき館上映会」「グリーンプラザシアター」「七が浜国際村」の3つ。松田定次の『赤穂浪士・天の巻地の巻』(昭和31年)や成瀬巳喜男の『おかあさん』(昭和27年)、市川崑の『おとうと』(昭和35年)などを上映している模様。中でも「のんき館」は200回以上続いているようです。 |
映画館以外の上映スペース、"シネマテーク"と呼ばれるところなどを挙げてみました。上映サイクルで分類すると、1.定期上映館、2.不定期の上映会、3.映画祭の3つに分けられるようです。なかでも映画祭は少々性質を異にするので次のページにて大々的にご紹介します。 上映会情報大募集。このページに追加掲載させていただきます。微力ながら私のゲストブックなどもご活用下さい。「これは!」という作品の上映には、当然サダナリも参上致しますよ。 |
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「映画祭で観る」に進む、のココロ |