99/03/14 部分更新 若人のための 日本映画入門 戦後黄金期編 |
映画祭で観る [ 全国編 ] |
一昨年になりますか、横浜のジャズフェスティヴァル特集の時に、「ジャズ・フェスで初めてジャズに接するもよし」と書きました。ちょっと敷居の高いモダン・ジャズも、「お祭り」でならば飛び込みやすいのでは、ということなんですが、同じことが日本映画についても言えるように思います。 うまくしたもので、日本映画にも同じような「お祭り」があるんですよ。というわけで、日本全国で行われている映画祭情報をお送りします。町おこしブームとやらに乗り、全国の映画祭数知れず。ここでは日本映画に力を入れている映画祭を中心にご紹介します。 |
■ 北海道 札幌では35年の歴史を持つ「札幌映画サークル」が、「日本映画名作祭」なる涙の出る様なイヴェントを開催しています。例えば'98年12月の上映会では'60年代の名作6作品をピックアップ。『天国と地獄』(昭和38年/黒澤明監督)、『飢餓海峡』(昭和39年/内田吐夢監督)、『張込み』(昭和33年/野村芳太郎監督)に『雁の寺』(昭和37年/川島雄三監督)などなど、良いセレクションです。 丁度その直前に出張で札幌におり、行きつけのラーメン屋「爐」に貼ってあったポスターで知りました。まさか札幌のラーメン屋で川島の名前を見るとは(笑)。 北海道は映画祭の盛んなところでもありまして、有名な「ゆうばりファンタスティック映画祭」の他、あがた森魚氏がタッチしている「函館山ロープウェイ映画祭」などもありますが、あまり古い日本映画をやらんのだなぁ...。後者では函館を舞台とした『夕陽の丘』(昭和39年/日活)なんてのはやってくれるようですが。 ■ 東北 東北では「山形ドキュメンタリー映画祭」が有名ですが、読んで字のごとくドキュメンタリー中心。古い日本映画を観るならば青森県は津軽郡浪岡町で行われる「なみおか映画祭」の方がいいでしょう。例えば'98年10月の第7回では、本多猪四郎の『マタンゴ』(昭和38年)、『美女と液体人間』(昭和33年)から...おお!我が心の1本、丸根賛太郎の『天狗飛脚』(昭和24年)までやってくれている!。 ページ公開数日後に早速、読者の方から情報を頂きました。今年'99年より秋田県の金浦と云う小さな港町で「金浦映画祭」が開催さるそうですれます。「小さな港町の閉館した映画館に、再びフィルムの回る音を」という開催経緯が泣けますなぁ...。 邦洋取り混ぜての上映ですが、石井輝男監督を目玉とした企画もあり、『おかあさん』(昭和27年/成瀬巳喜男監督/石井輝男助監督)、『ねじ式』(平成10年/石井輝男監督/つげ義春原作/浅野忠信主演)の上映の他、監督を招いてののゲストトークも催されます。 その他、邦画上映は『(ハル)』(平成8年/森田芳光監督)、『踊りたい夜』(昭和38年/井上梅次監督)、『砂の器』(昭和49年/野村芳太郎監督)。話題の新作あり、往年の名作ありの納得のセレクションですね。2回、3回と続く様にお祈りしております。情報提供は下村健さん。ありがとうございました。 |
■ 信州 昨年'98年9月に長野・茅野市で「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」が開催されました。昨年が第一回、予定していたゲスト監督や女優がドタキャンになったり、そもそもゲストの人選にチト疑問があったりしましたが(笑)、小津・野田両氏ゆかりの地、蓼科にかの地ならではの映画祭が定着するように願っています。これから毎年開催し生誕100年にあたる2003年には国際映画祭への拡大も計画しているそうです。 |
「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」案内 上映会の他、座談会、シンポジウム、 パーティーなど開催 " 二泊三日 小津映画を観て 高原の秋を愉しもう " ...と書いてある |
■ 九州 20回以上の歴史を持つ日本一の邦画映画祭、九州・大分の「湯布院映画祭」は超有名。監督、脚本家、評論家などコワモテの日本映画界の重鎮たちが大挙して列席するシンポジウムは白熱のあまり少々荒れる(?)というウワサも聞いています(笑)。いつか参加したいものだ。 ちなみに昨年'98年のセレクションを見てみると...おお!ちょっとシリアスな新作が多いというイメージがあったけれど、去年は全然違ったんだ。エノケンこと榎本健一の『エノケンのどんぐり頓兵衛』(昭和11年/山本嘉次郎監督)や、『鴛鴦歌合戦』(昭和14年/マキノ正博監督)、戦後はクレージーキャッツの『ホラ吹き太閤記』(昭和39年/古沢憲吾監督)や『にっぽん・ぱらだいす』(昭和39年/前田陽一監督)かぁ。楽しいなぁ...。 毎年夏にやっております。九州在住の読者の方、よろしければ是非、ここで日本映画に触れてみてください。 |
年1回とはいうものの、それなりの規模の映画祭を開催するのも大変なことだと思います。名画座が消え行く昨今、首都東京でも我々日本映画ファンは何らかのアクションを起こさなければいけないのかもしれないなぁ...。 映画祭も情報大募集。このページに追加掲載させていただきます。微力ながら私のゲストブックなどもご活用下さい。ユニークなものには私もお邪魔したいと思います。 |
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