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98/12/23
第六回
入魂企画
はじめてのJAZZ
世界一わかりやすいジャズ入門
ジャズ映画大特集
Jazz on the Screen Vol.1




1 まず必見の伝記映画ベスト3








グレン・ミラー物語
The Glenn Miller Story (1953 米 カラー 116min.)

 
スタッフ
 

監督
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. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . .アンソニー・マン
音楽
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. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. .ジョセフ・ガージェンソン

 
キャスト
 

グレン・ミラー. .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ジェームズ・スチュアート
ヘレン・ミラー. .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . .ジューン・アリスン
特別出演 . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . ルイ・アームストロング
〃  . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . .ジーン・クルーパ
〃  . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . . . ベン・ポラック
〃  . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
フランセス・ラングフォード
〃  . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . モダネアズ合唱団

 




■ 最高傑作!これを観ずして...

 ロサンゼルスの楽団でトロンボーンを演奏するグレン・ミラー。しかし彼は自らのアレンジで、新しい音楽を生み出したいと考えている。

 ある日のこと在籍するベン・ポラック楽団がグレンの出身地デンバーを訪れた。グレンは大学の同級生、へレンの家に向かう。仕事が終わってから、明け方に、である。しかも2年振りで、その間音沙汰なし。ヘレンは最初、彼が誰だか判らなかった程だ。寝ているヘレンを通りから大声で叩き起こし、そっと手渡したのは、質屋で買ったニセモノの「真珠の首飾り」であった。
 翌日、母校コロラド大学を訪れる2人、グリークラブが歌う「茶色の小瓶」を「大好きな曲」だというヘレン、「モッタリしてるよ」というグレン。そこにバンドメンバーの車が現れ、グレンは飛び乗る。ひとり残されたヘレンは一言、「あきれた人」。

 更に2年後、ポラック楽団を辞めアレンジを追い求めるグレンだが、生活は苦しい。そんなとき、夜のニューヨークの街角に流れる「茶色の小瓶」を聴いて、突如ヘレンを呼び寄せて結婚しようと思い立つ。レコード店の電話を借りて「NYに来い!話はこっちへ来てからだ。電話番号はペンシルバニア6−5000」。これで着くなり結婚してしまうんだから、ヘレンもなかなかの人物である(笑)。なんと地元に別の婚約者もいたのに...。

 やりくり上手なヘレンのへそくり「グレン・ミラー楽団基金」を元に、いよいよ自己のバンドが活動を開始。ところが客の不入りや興業主とのトラブルでバンドは解散、旅の疲労からヘレンは流産してしまう。苦難の船出ではあったが、しばらくしてバンドは復活、管楽器を多用した美しいハーモニーが話題となり大人気を博す。
 ヘレンは流産が災いして子供の生めない身体になるが、子供好きのグレンは養子をとるというエピソードも挿入される。
 そんなさなかに、グレンは空軍に入隊する。階級は大尉。時あたかも第二次大戦の真っ只中であった。「軍の中でも自分の楽団を持ちたい」というグレンだが、軍隊はそんなに甘くない。来る日も来る日も退屈なマーチばかり。ある日のこと、将軍を迎えての観兵式の行進中に、突如「セントルイス・ブルース」を演奏する。直属の上官からは「隊の恥じだ!」と大目玉だが、アーノルド将軍には大好評。これがきっかけで軍隊内で「グレン・ミラー楽団」が編成される。

 空襲下のロンドンで、連合軍の格納庫の中で、慰問演奏を続けるグレン。パリ解放、大戦も終盤に差しかかって来た。クリスマス特別番組の為に、濃霧の大西洋をロンドンからパリに飛ぶ。運命のフライトである...。

 そして、クリスマスの夜。パリからの生中継を本国で聴くヘレンと子供たち。グレンは、パリには、現れなかった。グレンのいないグレン・ミラー楽団が奏でるのは...彼女のために、この日のためにアレンジしたスウィング版「茶色の小瓶」であった。


日本初公開時のプログラム
父親の知人より頂いたもの


■ かいせつ

 第二次大戦末期の1944年12月、悲劇の事故死を遂げたスウィングの神様、グレン・ミラー(tb)の物語。男性には見どころの多い音楽映画として、女性には愛に溢れたロマンティック・ムービーとして楽しめるだろう。名曲誕生にまつわるエピソードの数々など、素晴らしい演出で魅せてくれる。
 最初に観たのが小学生のとき。ラストシーンでは涙が止まらなかった。10年ほど前にヴィデオを入手。以来、年に数回は観ている。恥ずかしながら、その度に同じように涙を流してしまう(苦笑)。

 なぜ何回も観たくなるか。その理由は2つある。まずは「あのシーンが観たい!」と思わせるところが沢山あるからだ。中でも最も魅力的なのが、グレンが軍の式典で「セントルイス・ブルース」を演奏するシーンである。厳粛な軍の行進にブルースが響きわたる!こんな快感があるだろうか。
 行進の列を横切って楽隊に近づくグレン。「将軍のためにやるぞ」と言うなり、ジャズ風のドラム・フィルと共に「セントルイス・ブルース・マーチ」が流れ出す。そして嬉しそうな黒人兵たち...。音楽映画史に残る名シーンだと思う。そのほか、ちょっとしたコメディー仕立ての演出も多々あり、オチが判っていてもつい笑ってしまうのだ(笑)。
 もうひとつの理由は主役2人の素晴らしいキャラクターである。ヘレン役、ジューン・アリスンのハスキー・ヴォイスはキュートの見本のよう。強引なグレンに呆れつつも惹かれるお嬢様を好演、彼女の明るさには心が和む、が、単なるお嬢様ではないのだ。グレンを支える良き妻、グレン亡き後の強き母も見事に演じている。名演なり。
 そしてジェームズ・スチュアート!私は彼の大ファンなのだ(笑)。あのとぼけた表情、もごもごとした声と喋り方、彼を観ているだけでニヤニヤしてしまう。いい役者は観ているだけで楽しいのだ。でもつい先日、亡くなってしまったんだよなぁ...。

 しかし、強引な結婚といい、軍の式典で演奏するブルースといい、その破天荒さはまるでパンクの様に見える。実際にグレンはかなりブッ飛んだ人間だったのかもしれない。そしてそんなところも...大好きである(笑)。でもそんなデタラメさ(観ればわかるが、呆れるくらいデタラメな奴だぞ)こそがジャズの本質なのかもしれない。

 ともかく音楽ヨシ、演出ヨシ、演技ヨシ、ジャズ伝記映画の最高傑作である。何をおいてもまずはこの1本を。ご近所のレンタルビデオ屋にもきっとあります。


■ ジャズ・ファンの目

 『裏窓』の、『翼よあれが巴里の灯だ』の、『スミス都へ行く』のジェームズ・スチュアートである。何回も、何回も、スクーリンで観て来た有名俳優なのに、ここではグレンにそっくりだ。ラスト近く、ヘレンの机の上に飾ってあるグレンの写真に至っては、スチュアートなのか、グレン本人なのか、区別がつかないほどだ(笑・良く観るとスチュアートだった)。
 スライドさばきもなかなかのもの、演奏シーンにもほとんど違和感はない。ヴェテラン・ジャズ・ファンの中にも、グレン・ミラーと聞いて、この映画の中のジェームズ・スチュアートの姿を思い浮かべる方は少なくないであろう。まさにグレンを「演じきった」と言える。
 奏法指導や吹き替えについては諸説あるのだが、指導はジョー・ユークル、吹き替えはマレイ・マカカーンらしい。ちなみにユークルはミラーの後釜としてポラック楽団に入った人物である。




Glenn Miller 
1904 - 1944 



James Stewart 
in ' The Gleen Miller Story ' 


 食えないころ、グレンは親しいジャズ・メンから「アレンジに取り憑かれてしまたんだなぁ」と言われる。この映画の音楽的な主題はアレンジの重要さである。前述した「茶色の小瓶」の他、お蔵入りしていた自作曲「ムーンライト・セレナーデ」をアレンジによって蘇らせる場面も登場する。このくだりが実によく出来ている。楽器を演奏する人にはちょっとした参考になるだろう。

 ゲスト出演はルイ・アームストロング(as)、シーン・クルーパ(ds)、モダネイヤーズ(vo)、フランセス・ラングフォード(vo)など。中でもラングフォードが巨大な格納庫の中で無数の兵士達を前に歌う「チャタヌガ・チュー・チュー」が絶品である。マーティー・ナポレオン(p)やベイブ・ラッシン(ts)といった通好みのゲストも観られる。
 なお、音楽監督はジョセフ・ガージェンソンだが、アレンジャーとしてヘンリー・マンシーニの名前もクレジットされている。

 スウィング・バンド数々あれど、グレンのサウンドは「なんか、グっと来るんだよなぁ」と思っていたら、なるほど、「セントルイス・ブルース・マーチ」といい、「チャタヌガ・チュー・チュー」といい、どこかにアメリカ人の郷愁をかき立てるような力があるのだな。この映画を観るとそれがよーく判る。アーノルド将軍の言葉「君の音楽は故郷(クニ)を思い出させる」が温かく響く。ともかく必見である!


'The Unforgettable Glenn Miller'
RCA PCDI-5459








ベニイ・グッドマン物語
The Benny Goodman Story (1955 米 カラー 112min.)

 
スタッフ
 

監督
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. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . .バレンタイン・デイビス
音楽
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. . . ジョセフ・ガーシェンソン

 
キャスト
 

ベニイ・グッドマン
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. . . . . . . .スティーブ・アレン
アリス・ハモンド
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. . . . . . . . . . . . .ドナ・リード
特別出演. . . . . . .
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. . . . .ライオネル・ハンプトン
〃  . . . . . . . .
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. . . . . . . . .ジーン・クルーパ
〃  . . . . . . . .
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. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . .テディ・ウイルソン
〃  . . . . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . . . . .スタン・ゲッツ
〃  . . . . . . . .
. . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . .ハリー・ジェームズ

 




■ 美しきジャズのおとぎ話

 1919年、シカゴ。ユダヤ系のグッドマン一家は縫製職人の父を中心に、慎ましくも幸せに暮らしていた。3人の息子達に父は語る「いい本を読み、いい音楽を聴くのだ」。父は彼らを地元の音楽教室に連れて行く。ここではタダで音楽が学べるというのだ。
 身体の大きな兄達はスーザホンとホルン、歳の離れた末っ子のベニイにはクラリネットが与えられた。小さな楽器に不満げなベニイだったが、数年の内にめきめきと腕を上げる。「40年吹いて来たわしを6年で追い越すとは」と喜色満面の先生は「次はモーツアルトを」と意気込むが、ベニイはお金に繋がるラグタイムの仕事をやりたくて仕方がない。「ラグタイムなんて!(Don't be that way !)」と止める先生の声を背に、遊覧船のバンドに参加するベニイであった。
 遊覧船でベニイは運命の出会いをする。デキシーの神様キッド・オーリー(tb、なんと本人出演)の演奏を観るのだ。「感じるままにスウィングするんだ。ニューオーリンズではみんなこうだよ」というオーリーの言葉を聴き、ベニイの心に何かが生まれた。ベニイは西海岸に移り、ベン・ポラックの楽団に参加する。

 ポラック楽団で大活躍を遂げるベニイだが、久々に帰った故郷のシカゴでは、出迎えに来た父親が交通事故で亡くなるという悲劇にも見舞われた。
 ギャングが経営するモグリ酒場(スピーク・イージー、禁酒法の時代である)で演奏を続ける彼らに転機が訪れる。ニューヨークに出て、新しいスタイルで勝負を、という誘いが来たのだ。そのためにはギャングのボスに話を付けなければならない。交渉役を買って出たベニイを迎えたボスが、なんと幼なじみで...というくだりには笑わされる。
 ニューヨークに出たベニイはポラック楽団をやめ、自分のサウンドを模索する。しかし生活のために、つまらない仕事もやらざるを得なかった。そんな時、友人の妹アリスに「信念を貫くべきよ」と言われ、自らの楽団結成を決意する。
 この直前にクラシック演奏にまつわるちょっとした挿話がある。上流階級であるアリスの家のパーティーに招かれて、モーツァルトを演奏するというのだ。「きっと恥をかきますわ」という彼女の心配をよそに、シカゴ時代に磨いたクラシックの才能を蘇らせ大喝采。面白がって観に来たジャズ仲間の「今夜はハマってるぜ!(You are in a groove tonight !)」という言葉にハイソなオバサマが眉をしかめるシーンがちょっと愉快。

 NBC放送のオーディションに受かり、"ベニイ・グッドマン楽団"のサウンドはラジオに乗って全米を席捲した。東部標準時は午前1時、エール大の学生はベッドの中で聴き、太平洋標準時午後10時の西海岸では、南加大生がダンスに興じている。そして中央標準時では午前0時、ベニイのサウンドと共に愛を語る恋人たち...。このシーンが、最高だったなぁ...初めて観た小学生の時に、「アメリカってこんなに広いのか!」と驚き、その豊かなライフスタイルにもうっとりした。注目している人は少ないかもしれないが、ちょっとした名場面であるとも思う。
 地方では苦戦を強いられた楽団だが、ラジオを通してファンを増やし、安定した人気を獲得する。更に様々な仲間達も加わって来る。フレッチャー・ヘンダーソンがアレンジを買って出て、公演の途中で立ち寄ったレストランのオヤジ−ライオネル・ハンプトン(vib)も楽団に参加する。このハンプトンのエピソードも面白かった。

 そして終盤は上流家庭の子女であるアリスと、貧しい出ではあるが天才的な音楽家であるベニイが一緒になれるのかが物語の中心となる。「育ちが違いすぎるから」と反対するのは意外にもベニイの母の方であった。アリスの家では彼はその才能から尊敬を受けていたのだ。しかし最後には母親も心を許し、さらにクラシックの殿堂、カーネギーホールでの公演も大成功を収める。すべてはめでたしという結末である。


' The Benny Goodman Story '


■ かいせつ

 クラリネットとの出会いから、カーネギーホールでのコンサートの成功までを2時間弱で一気に見せる。グレン・ミラーと並ぶスウィングの大物、ベニイ・グッドマン(cl)の半生を知るには最高の一本である。「グレン・ミラー物語」と共にジャズ伝記映画の2大傑作と言われている。

 全編を通じて、演出にひとつのキーがある。それは「ダメダ!」と思わせておいて大逆転、大成功というものだ。「クラリネットでも、いいや」と仕方なく初めたが、天才的に成長、「ジャズなど堕落だ!」と言われながら、歴史的なアーティストに大成。「クラシックなど演奏出来るのか?」と心配させておいて...といったどんでん返し、映画用語でいうところの「カタルシス」(ただし中くらいの)がこの映画の見モノかもしれない。

 しかしあまりにベニイを善人に描きすぎるがために、なんとも平坦な、起伏に乏しい作品になってしまった、という評もある。さらには「あんなに"グッドマン"じゃなかったぜ」というジャズメンたちの皮肉も良く見かける。
 貧しいユダヤ人一家の三男坊がショウビジネスの世界で成功を収めるには、それなりのエゴや、自己主張もあっただろう(ビル・クロウ(b)のエッセイなどを読むとかなり辛辣に書いてある)が、とりあえずこここでは「おとぎ話」として楽しむことにしよう

 まぁ確かに、ヴィデオでしっかりと見直してみると、色々と弱点はあるな。地方では散々だった楽団が都市部でいきなりバカ売れしたり、結婚の障害となっていたベニイの母親があっけなく心を開いたり、アリスが迷ったり確信したりするのがあまりに短い時間の中だったり...転換が唐突すぎるのだ。せかっくの好転が描けていないなぁ。
 ジャズと上流階級の対比で後半1時間を押し切っているのも、類型的に思えた。娯楽映画ならではの「ご都合主義」のワナってやつにハマってしまったのかもしれない。脚本が、ちょっとユルい。


■ ジャズ・ファンの目

 ベニイ役のスティーヴ・アレン、これが非常に似ている。しかもアレン自身も歌もピアノも演奏し、レコードまで出しているそうで、身体のこなし、ノリについてはまず合格。しかしクラリネットの指遣いには若干、不自然なところもある。クラの吹き替えは件のクラシックの部分も含めてベニイ本人が担当。故にサウンド・トラックは申し分ない。

 ジャズ・ファンへのプレゼントは多彩なゲストであろう。ほとんど出ずっぱりのジーン・クルーパ(ds)と、テディー・ウイルソン(p)、実にいい芝居を見せるライオネル・ハンプトン(vib)、吹きまくりのハリー・ジェームズ(tp)とジギー・エルマン(tp)。特にエルマンのスタイルは強烈だぞ。夢に出てくるぞ(笑)。「え、このヒト映画なんか出てたの?」と驚くスタン・ゲッツ(ts)の出番には注意が必要だろう。ちなみにフレッチャー・ヘンダーソン役はサミー・デイヴィス・Sr(シニア)、お馴染みJrのお父さんである。
 コンサート・シーンが楽しいのも見どころのひとつ。楽団の明暗を賭けた平日朝の映画館でのコンサートでは観客の熱狂ぶりが凄い。「ホラみろ、ジャズってこんなにアバレながら観てもいいんじゃねぇか!」とリキみたくなる(笑)。
 ラストのカーネギー・ホール・コンサートのシーンは、実際に当時行われたものの忠実な再現になっているらしい。これも非常にお得である。時間も15分もあるのだ。

 しかし前述の通り、脚本の弱さは否めない。全編を通じて、ジャズの魅力のひとつ、危うさ、妖しさについてはいまひとつ...という気がする。確かに楽しさも魅力ではあるが。「グレン・ミラー物語」と比べ、数々の名曲に対するエピソードが物語に盛り込まれていないのも辛い。気の効いた逸話と共に登場するのが「その手はないよ」と「アヴァロン」くらいのものなのだ。折角の名曲が活きていないなぁ...。
 結局「グレンの魅力ってなに?」というところが十分に描けていないような気もする。微妙な映画である。


'Benny Goodman 16most requested songs'
Columbia DIDP079713









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