99/03/06 部分更新
若人のための
日本映画入門
戦後黄金期編






 テレビで観る [ 衛星放送・地上波 ]




 先日の「映画コーナー」に書きましたが、昨年'98年にCATV、BS、CSを相次いで導入。ウワサの超多チャンネルを観てみたら...日本映画のパラダイスでした。驚いた!。というわけで、まずは一番タイヘンなことになっているCSから行きましょう。



 日本映画専門チャンネル [ スカイパーフェクTV ch.707]
 サダナリ・イチオシ、その名の通りの「日本一の日本映画チャンネル」でしょう!。本日は熱心な視聴者であるサダナリがその魅力を分析してみましょう。

 魅力その1企画がユニーク。月ごとにテーマを決め10本前後の「特集上映」があり、さらに月に1日、その10本を連続上映する「24時間まるごと」の日もアリ。'98年12月は「24時間まるごと川島雄三」、'99年1月は「24時間まるごと原節子」、2月は"ザッツ・ニッポン・ミュージカル"と題して『嵐を呼ぶ楽団』(昭和35年)や『ジャンケン娘』(昭和30年)といった通好みの作品が上映されていました。その他、日本映画のみで年に500タイトルです!。

 魅力その2タイムテーブルがわかりやすい。月曜から日曜まで、同じ内容を繰り返し放映。1週間単位で切り替わります。「名画座をイメージした」というそのタイムテーブルは非常にわかりやすい!。「うーん、今日録画しそびれたから、次の再放送は、10日後か、20日後か?...」などと迷う必要がないのだ。

 魅力その3シブイ作品もやる。特集上映以外にも毎月コツコツと続けられる渋いプログラムもあり。新藤兼人監督や勅使河原宏監督の作品など。毎月追い続けて学んで行く感じです。山本政志監督作品など現代の意欲作も採り上げてくれます。

 魅力その4雰囲気が明るい。とにかく明るいのだ。「明るく楽しい東宝映画」(浅草東宝の階段に書いてありますな)の精神を汲み、前述の川島喜劇やニッポン・ミュージカル、若大将シリーズなど、日本映画黄金期の息吹を現代に伝えようという気持ちがひしひしと伝わって来る。特にミュージカル特集の時のコピー「お帰りなさい、明るいニッポン」には、泣けた〜(笑)。これだけ観れて月額\800、安い!。
 



日本映画専門チャンネル宣伝
この明るさ、たまらんなぁ...(涙)





 衛星劇場 [ 旧・シネマジャパネスク スカイパーフェクTV ch.310]
 こちらは松竹系。とはいえセレクションは松竹に限らず邦画各社、更には洋画にまでも及びます。『喜びも悲しみも幾歳月』(昭和32年)や『二十四の瞳』(昭和29年)など、松竹映画の名作中の名作から、『戦艦ポチョムキン』('25年/ソビエト)や『ぼくの伯父さん』('58年/フランス)まで、なんでもやっちゃう。最近は何故かドリフ映画にも意欲的(笑)。

 ここのシリーズもイケるぞ。毎月1〜2本必ず放映する「今月の寅さん」や、地上波ではすっかりやらなくなった「喜劇・社長シリーズ」や「喜劇・駅前シリーズ」等々、「社長シリーズ」なんて毎晩やってるんじゃないかぁ(笑)。月額\1800ですが、払う価値はあるでしょう。



こちらはチャンネルNECO

いろいろ出てるが、全て日本映画
そしてたったの¥300




 チャンネルNECO [ スカイパーフェクTV ch.261 ]
 日活系。このチャンネルも大好きです。日活ならではのクッダラネェ娯楽映画の連発で、気分は場末のオールナイト(笑)。「小沢昭一出現率」が世界一高いTV局であろう。なんたって小沢先生主演のSP("シスター・ピクチャー"邦画最盛期に作られた短編)映画『お父ちゃんは大学生』(昭和36年)が観られるのは世界でも、いや宇宙でもここだけでしょう。長年観たかった小沢昭一主演、西村昭五郎監督の鬼気せまる傑作『競輪上人行状記』(昭和38年)も遂にここで観れた!。

 当然の如く、日活文芸作品、アクション、青春映画にも強し。「日本映画専門チャンネル」に刺激されたか、「野良猫ロック・全5作品一挙放映」(昭和45〜47年)なんてトンデモない企画にも乗り出した。日活作品の視聴者リクエストもスタート、かなりホットなチャンネルです。そしてこれで月額たったの\300、激安だ!。



 ご覧の通り、各映画会社の系列となっておりまして、ご想像の通りあともうひとつ、その名もズバリ「東映チャンネル」(スカイパーフェクTV ch.708)というのもあるのですが...これ以上は観きれないので加入していません。なんたって東映ッスから、「網走番外地」シリーズから「仁義なき戦い」「トラック野郎」まで、男気ムンムンのプログラムになっており、魅力はタップリなんですがねぇ...。

 私がアンテナをオっ立てているスカイパーフェクTVには映画専門チャンネルが30以上あるのですが、日本映画専門または日本映画中心で組まれているのは、東映も入れて以上の4つでしょうか。
 毎週10本前後、月に30〜40本はチェックしているかなぁ...。名画座の灯は消えてしまったけれど、遙か宇宙の彼方はタイヘンなことになっていたのだった。街に名画座はないけれど、赤道上空3万6000kmから最新のデジタル信号に乗って小沢昭一や山茶花究が降り注いで来る、というのはビートルズの全世界同時中継にも通じる素敵なことだと思いませんか...思わないか(笑)。
 不肖サダナリも「観きれない!」という嬉しい悲鳴。ビデオテープが日に日に山積みになり、宮○勤の部屋の様になってしまった。アブナイ。

 ちなみにもうひとつのCSサービス、「ディレクTV」にも「MOMOチャンネル」(ch.281)や、'99年春に放送開始の「邦画専門チャンネル」(仮称 ch.258)があります。内容は前出の4つを混ぜた感じですね。

 チューナー+パラボラ・アンテナで今やサンキュッパ(\39800)ですが、工事や設定が面倒だという方はお近くのケーブルテレビ経由で視聴する方法もあります。但しその場合はサービスされるチャンネルに制限があるのでご注意下さい。
 更に細かいことをいうと、「日本映画専門チャンネル」は昨年'98年春以降に発売された最新タイプ(2衛星対応型)のチューナーでなければ受信出来ません。お友達などからの「旧型のチューナー、安く買わない?」にはご注意下さい。
 直接受信も、ケーブルテレビ経由も、詳しくは下記のホームページからお調べ下さい。CS加入、明らかに生活変わりますよ。


 このページ発表直後にディレクTVに少々変化があった模様。邦画専門の「MOMOチャンネル」は'99年4月30日で放送を休止します。かわりにスカイパーフェクTVの「チャンネルNECO」が参入。 ch.258で予定されていた邦画専門チャンネルは消えてしまった。うーん、ハッキリ言って、ディレクTV、邦画については魅力ないですね。PPV(ペイパーヴュー、観た番組だけお金を払う方式)にチカラを入れると言っていますが...。邦画好きならスカイパーフェクTVでしょうか?。





■ 日本映画専門チャンネル
http://www.skyent.co.jp/skyenter.nsf
■ 衛星劇場
http://www.eiseigekijo.com/
■ チャンネルNECO
http://www.nikkatsu.com/
■ 東映チャンネル
http://www.toei-group.co.jp/cs/
■ スカイパーフェクTV
http://www.skyperfectv.co.jp/





■ BSと地上波

 さてBSもがんばっています。注目はWOWOWの日本映画シリーズ「にっぽんが観たい!」でしょうか。川島雄三の『女であること』(昭和33年)や『花影』(昭和36年)、成瀬巳喜男の『驟雨』(昭和31年)といった往年の秀作から、近年の『風の歌を聞け』(昭和56年)、『ガキ帝国』(昭和56年)、さらには公開されたばかりの『ひみつの花園』(平成9年)、『鉄塔武蔵野線』(平成10年)まで。よかった、日本映画が観たい!と思っている人は私だけではなかった(笑)。

 NHK-BS2もたまにイイのをやる!。『嵐を呼ぶ男』(昭和41年)、『ギターを持った渡り鳥』(昭和34年)などの娯楽作品や、小津の『浮草』(昭和34年)、成瀬の遺作『乱れ雲』(昭和43年)など、NHKらしい堅実なセレクションですね。

 しかし...逆に地上波はどうなってしまったのだろう?。今やほとんど日本映画をやらない。思えば小津も川島も、いや、「社長シリーズ」だって、「駅前シリーズ」「無責任シリーズ」だって、初めて観たのはテレビだったのに...。
 私が小中学生の頃−20年程前ですが−には今や"マニヤック"と言われている様な作品も普通にテレビ(地上波。当時は衛星放送なんてなかった)で放映されていて、両親と一緒に楽しく観ていた−生活の中に溶け込んでいた−様に思います。
 日曜日の午前中のNHKや、週末の夜の東京12チャンネル(現・テレビ東京)など。そう、小津なんてここで知ったぞ!。毎週日曜日の午後は日本テレビの「喜劇・社長シリーズ」でキマリ!だったし...。

 CS、BSの充実も嬉しいけれど、いま一度、手軽に観られる地上波で、月イチか週イチの「日本映画名作劇場」を!と、ワタシハイイタイ。
 そんな中、月に1本ぐらい、平日深夜に思い出した様に放映している日本テレビはエライ!。先日の『青春残酷物語』(昭和35年/大島渚監督)なんて大胆で良かったです。続けて『愛のコリーダ』(昭和56年)もやって欲しいが...ありゃムリか(笑)。







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