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97/08/24 入魂企画 はじめてのJAZZ 世界一わかりやすいジャズ入門 第一回 ’ジャズとはこうなっているのだ’ |
■ たぶんこうなっているのだ一覧表 ■
年代 | スタイル | アーティスト | ||||
木管 | 金管 | ピアノ | ギター | その他 | ||
1900 〜10 |
ラグタイム ニューオーリンズ デキシーランド |
バディー・ボールデン(tp) |
スコット・ジョプリン ジェリー・ロール・モートン |
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1920 | シカゴ・ジャズ ハーレム・ジャズ |
ビックス・バイダーベック(tp) |
ファッツ・ウォーラー |
ベッシー・スミス(vo) | ||
1930 | スウィングなど | ベニー・グッドマン(cl) シドニー・ベシェ(ss) |
グレン・ミラー(tb) ルイ・アームストロング(tp,vo) |
デューク・エリントン カウント・ベイシー |
ジャンゴ・ラインハルト |
ビング・クロスビー(vo) フランク・シナトラ(vo) ライオネル・ハンプトン(vib) |
1940 | ビ・バップなど | コールマン・ホーキンス(ts) チャリー・パーカー(as) レスター・ヤング(ts) |
ディジー・ガレスピー(tp) マイルス・デイヴィス(tp) |
セロニアス・モンク |
チャーリー・クリスチャン |
ナット・キング・コール(vo,p) ビリ・ホリデイ(vo) JATP |
クール | リー・コーニッツ(as) |
マイルス・デイヴィス(tp) |
ジョージ・シアリング レニー・トリスターノ |
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1950 | ウエスト・コースト | ジェリー・マリガン(brs) アート・ペッパー(as) ポール・デズモンド(as) |
チェット・ベイカー(tp,vo) |
デイブ・ブルーベック |
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ハード・バップ ファンキーなど |
キャノンボール・アダレイ(as) ソニー・ロリンズ(ts) ベニー・ゴルソン(ts) ジャッキー・マクリーン(as) |
クリフォード・ブラウン(tp) ナット・アダレイ(tp) カーティス・フラー(tb) |
バド・パウエル ホレス・シルヴァー |
チャールス・ミンガス(b) アート・ブレイキー(ds) MJQ エラ・フィツジェラルド(vo) サラ・ヴォーン(vo) アニタ・オデイ(vo) ヘレン・メリル(vo) | ||
1960 | モード いわゆるモダン ボサ・ノヴァ アフロ・キューバン ジャズ・ロックなど |
ジョン・コルトレーン(ts,ss) ハービー・マン(fl) スタン・ゲッツ(ts) ローランド・カーク(reed) |
マイルス・デイヴィス(tp) リー・モーガン(tp) クインシー・ジョーンズ(tp,arr) |
オスカー・ピータソン ビル・エヴァンス ハービー・ハンコック |
ウエス・モンゴメリー ケニー・バレル ジョー・パス ジム・ホール |
ジミー・スミス(org) |
フリー | オーネット・コールマン(as) エリック・ドルフィー(bcl,fl) アルバート・アイラー(ts) |
セシル・テイラー |
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1970 | エレクトリック フージョン など |
ウエイン・ショーター(ts) マイケル・ブレッカー(ts) デイヴィッド・サンボーン(as) |
ランディ・ブレッカー(tp) マイルス・デイヴィス(tp) |
チック・コリア キース・ジャレット デイヴ・グルーシン カーラ・ブレイ |
ジョージ・ベンソン パット・メセニー リー・リトナー アル・ディ・メオラ |
ジャコ・パストリアス(b) AEOC ウエザー・リポート リターン・トゥ・フォーエヴァー マンハッタン・トランスファー VSOP,STUFF |
1980 | 新伝承派 ニュー・ジャズ ヒップ・ホップ アシッドなど |
ブランフォード・マルサリス(ts) ジョン・ゾーン(as) ジョン・ルーリー(as) |
ウイントン・マルサリス(tp) マイルス・デイヴィス(tp) |
ハービ・ハンコック |
スティーヴ・ガッド(ds) マーカス・ミラー(b) | |
1990 | ジョシュア・レッドマン(ts) コトニー・パイン(ts) キャンディ・ダルファー(as) |
アルトゥール・サンドヴァル(tp) |
ゴンサロ・ルバルカバ |
US3,U.F.O ジェイムズ・テイラー(org) イラケレ モンド・グロッソ |
作成:定成 寛 1997 |
'GIANT STEPS' John Coltrane 1959 (AMCY-1001 MMG) 'Saxophone Colossus' Sonny Rollons 1956 (VICJ-23501 VMI) |
たぶんこうなっているのだ。JAZZの話をするときに、私が次から次へとアーティスト名を挙げるもんだから「一体どうやって覚えたんですか?」とよく聞かれるんだけど、なんのことはない、年代とスタイルをまず押さえて、次に各楽器別に人名を覚えていっただけです。単なる「芋づる式」ですよ。で、その覚え方を表にしました。あーつかれた。とりあえずこれで約100組。まずはあえてこれだけにしましょう。まあ1年間は困らないと思います。ひとり1枚CD買ったとして100枚ですからね(しかしこの効率の良さが受験で発揮出来れば....)。 しかし、やっかいなモノを出してしまったなあ。ビギナーの人は「ふ〜ん、時代によっていろんなスタイルがあるんだなあ。コルトレーンってのは60年代かあ」等々興味深く関心されていると思いますが、問題はJAZZマニア。「なんだこの表は!ハンコックとチック・コリアがなんでこんな離れとるんだ!」とか「ヨーロッパに目が向いとらん!エミール・マンゲルスドルフはどうした!」とか、アラ捜しして突っ込んで来そうだなあ。重箱の隅突っ付いて論争吹っ掛けるのが三度のメシより好きなんだよなあ、JAZZマニアっちゅうのは。ブツブツ。 一応、この表はそれなりのルールでまとめたつもりです。名前を出した基準は、まずその時代の重要人物であるということ。次に有名なリーダー作、代表曲があること。そして日本のTVCMに出演したり、曲が使われたりしたということです。ちょっとでも「マニアックかな?」と思った人はバッサリと外しました。 さらにどこの時代に置くかは、代表的なアルバムの録音年月日を基準にしました。例えばソニー・ロリンズなど50年代になるかならないかくらいから活動を開始し、出たり消えたりモヒカンになったりしながら今でも現役バリバリですが、代表作「サキソフォン・コロッサス」が56年の作品なので、とりあえず50年代としました。かなり強引ですけどね。70年以降はちょっと怪しいです。個人的にあんまり聴かないもんで。すいません。 それから日本のジャズメンもとりあえず除外しました。いずれ日本のJAZZ特集の時に、同じ表を全て日本人で作ってみるつもりです。谷啓(私が最も尊敬している高校の先輩)や、フランキー堺など、TVでお馴染みの名前が次々登場して「え、みんなジャズメンだったの?」と驚かれるかもしれませんね。意外に日本の芸能界とJAZZ界のつながりというのは深いものがあるのだ。もちろん守安祥太郎、阿部薫といった伝説の天才達も特集の予定。 あと、この表には出てこない、「JAZZ裏街道」みたいなのもあります。60年代後半のラテン・ジャズ、コテコテ・ソウル・ジャズ、イタリアン・チネ・ジャズ等々、実はそっちの方がキモチ良かったりするんですがそれもいずれ、特集で。 第一回にこの表を持ってきたのは、とにかく早いうちにJAZZってやつをザックリと鷲掴みにして欲しいと思ったからです。ロックにパンクとブルースがあるように、JAZZにもフリーとビ・バップなど、全く異なったスタイルが存在します。前ページの主人公の悲劇も、そして「誰を、どこから聴いていいのか取っかかりが難しくて....」という多くの人の悩みも、最初はこのスタイルってヤツが全くわからないことが原因なのではないでしょうか。雑誌とか買っても出てませんしねえ。 でもホラ、こうやって一覧にしてみれば時代も人も理解しやすいですよね。それぞれのスタイルがどんなサウンドなのかはこれからじっくりご説明しますから、その中で「聴いてみたいなと思ってた、イメージしてたJAZZってのはもしかしてこれかな」と思ったヤツにトライしてみて下さい。その方法ならばハズレはないはずです。 こまかいところはいいから、とにかく、ザックリ行きましょう、ザックリ。 サックスのCDだと思って買ったら意外にベースが気に入ってしまった。名前を調べて今度はそのベーシストの作品を買ってみる。おやおや今度はカッコイイフルートを発見....などなど第二、第三の「芋づる」であっと言う間に何百人も覚えちゃいますよ。みんなそうやってジャズ地獄にハマッて....いやいや、教養を深めて行きました。 |
'Kind of Blue' Miles Davis 1959 (CSCS5141 Sony) 'Solo Monk' Thelonious Monk 1965 (32DP666 Sony) |
■天才ふたりを改めて実感 それでもどうにも括れなかった人がふたりいます。マイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクです。マイルスは40年代以降の全てのスタイルを実践している。すごい。なにしろ終戦直後にチャーリー・パーカと一緒にビ・バップ演ってたのに、つい数年前はシンセガンガンでヒップ・ホップやってたんですからねえ。例えていえば....夏目漱石が今でも生きてて、インターネットで新作を発表するようなもんかな。時代を超越してるんです。最近のアシッド・ジャズ、クラブ・ジャズの盛り上がりを見ずに91年に亡くなってしまったんだけど、もしもまだ生きてたらきっとアシッドっぽいのを嬉々として演ってたんだろうな。ジャミロクアイとジョイントとか、聴いてみたかったなあ。おー、ゾクゾクして来た。 じゃあ、マイルスを全部聴いたらJAZZのスタイルが全て把握出来るのか?出来るんですよ、実は。そういうJAZZファン沢山います。本も出てます。いずれマイルスだけで特集組みますから、お楽しみに。とにかく大変な人なんです。帝王マイルスという人は(「モンクと俺を並べるな。やめろ。So what !」という声が聴こえて来そうですが)。 モンクは時代も跨ぐが、スタイル分けが極めて難しい。とりあえず「ビ・バップなど」に入れておきましたが、これはたまたま有名な初リーダー作が47年の録音だったからで、ビ・バップを専門に演っていたわけではナイ。モンクのスタイルは「モンク」。彼そのものがスタイルなんです。表中のどこに書けばいいかウンウン唸っていたんだけど、モンクの音楽を分類することなんて無意味である、という結論に達しました。 ソニー・ロリンズという人も大天才、偉人ではあるんだけど、スタイル的にはハード・バップに括られてしまうんじゃないかな。マイルスは全て演っているし、モンクはスタイルを超越している。このふたり、特別な存在だと改めて実感しました。 さて、それではそれぞれのスタイルや、きっと皆さんも知っているであろう代表曲の説明などを次のページで致しましょう。再びバカボン・パパをクリックして下さい。 |
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