00/01/23
第七回
入魂企画
はじめてのJAZZ
世界一わかりやすいジャズ入門
緊急ミニ特集
中級ジャズファン
ホントの愛聴盤




 ああ、ジャズが聴きたい!

その1 


 最初の気分はあまりにも単純な(笑)、「ああ、ジャズが聴きたい!」であります。しかしこの欲求が、侮れない。

 ロックを聴き始めたのはラジオ・オタクになった小学生の時で、それから数えてロック歴は25年。ジャズを本格的に聴き始めたのは社会人になった直後だからジャズ歴は丁度10年。ロックとジャズの間には実に15年ものキャリアの違いがあるのに...不肖サダナリ、ジャズの方に強烈に囚われてイマス。
 ロック・バンドでライヴ・ハウスにも出たし、プロのロック・ミュージシャンにも知り合いがいる。そんなそれなりにロックをキワめたサダナリが考えても、ロックよりもジャズの方が中毒性が高く、キケンなのではないだろうか。

 例えば繁華街を歩いている。道端の店からロックが聴こえて来る。「なんか、BGMなんだろうな」くらいにしか考えず、特に足は止めない。ロック流している店なんて星の数ほどあるしね。同じ様に店からジャズが聴こえて来る。「お?なんだ?」と足を止める。まずは業態を確認。飲み屋か、ジャズ喫茶か、あるいはライヴ・スポットか(キョロキョロと覗き込んだりスル)。次に誰の演奏か考える。どうもこのペットはリー・モーガンじゃないかな?するとサックスはショーターか?ピアノはハンコックの様な気もするが、ハロルドなんとかかもしれない。そして吸い込まれる様に店の中に...。

 まぁ「歳をとってから覚えた遊びほどアブナイ」というヤツかもしれませんが(笑)、どうもジャズにはイケナイオクスリの如き魔力がある様です。そしてジャズが切れると、もう堪らない。「ジャ、ジャズをくれぇ〜!」と震え出してしまう人もいる...わきゃないか(笑)。

 まずは私もたまに襲われる、「ジャ、ジャズをくれぇ〜!」状態を満たしてくれる濃い目のアルバムをご紹介します。


ADAM'S APPLE
WAYNE SHORTER (ts)
CDP7-46403-2 (BLUE NOTE)
1966

 いきなりヘンなの出してしまいましたが(笑)、しかし「ジャ、ジャズを!」的禁断症状の時に手が伸びるのは優等生的名盤ではなく、不思議とこんなB級盤だったりします。

 ウェイン・ショーター(ts)は'60年代前半にはアート・ブレイキー(ds)のジャズ・メッセンジャーズに参加、ソロを経て'70年代にかの元祖フュージョン・グループ"ウェザー・リポート"を結成した息の長いアーティストです。彼の代表作はたぶん'64年発表の『ジュ・ジュ』か後年'69年の怪作『スーパー・ノヴァ』で、この『アダムズ・アップル』を話題にする人は少ないかもしれませんが...オープニングのタイトル・チューン、しかもそのイントロで「くぅ〜、タマラン!」となるはずです。
 まずベースがいい。レジナルド・ワークマンなる作業服屋さんみたいな名前のベーシストが弾く、引っかけまくりのパターンが快感です。ピアノはハービー・ハンコック。反復リズムに適度な強弱を付けて弾く斬新さは、さすがハンコック。覚醒的な魅力があるんだなぁ。
 そしてそこにヌゥ〜っと現れるショーターのテナー。「これ!これだよジャズって!」と言いたくなる様な隠れた名盤。これならば禁断症状も治まることでしょう。

 全6曲はすべてショーターのオリジナルでアップ、ミディアム、スローいずれのパターンでもあくまでメロディーは妖しく、マイナー。「これでもか」と言わんばかりの濃いめのジャズ攻撃が続きます(CD化に際してハンコック作のナンバーが1曲追加された)。

 「あぁ、ワタシは今、ジャズを聴いているのだ」と心から実感出来るアルバムです。ちょっと暗いけど、おすすめ。


FUEGO
DONALD BYRD (tp)
CDP7-46534-2 (BLUE NOTE)
1959

 次は「ジャズ喫茶の定番」。'60年代のジャズ喫茶黄金期に非常に人気のあったアルバムらしいですが、今でも人気アリ。私は広島、新宿、鎌倉のジャズ喫茶で聴いたことがあります。いずれも'90年代後半のことです。

 トランペット奏者といえば、帝王マイルス、迫力抜群のリー・モーガン、そして偉才クリフォード・ブラウンなどが有名ですが、私はこのドナルド・バードが非常に好きなんです。それこそジャズ喫茶で大音量で聴くとよくわかるのですが、バードは実に丁寧に吹く。音が綺麗で聴いていてなんとも気持ちがいい。アーティキレーション(強弱などの表現)も実に細かい。しかし、それでいてモーガンに負けない様な過激なフレーズをこなしてしまうというのだから、こりゃナカナカ、スゴイもんです。一流の「職人」という感じがするなぁ...。

 サイド・メンもがんばっています。特にドラムのレックス・ハンフリーは大活躍。派手なオカズや激しいスネアで押しまくります。バードとジャッキー・マクリーン(as)の息の合ったプレイも聴きモノのひとつでしょう。
 曲は全てオリジナル。ドライヴ感、スケール感最高のタイトル・チューンに始まり、緊張感のある「バップ・ア・ループ」、「ファンキー・ママ」などを経て後半はゴスペル・タッチのナンバーが登場。特にラストの「エイメン」はその名の通り、ゴスペル・ジャズの名曲です。

 なによりも、"明るい"のが嬉しい。聴いた後にスッキリする名盤です。


SPEAK LIKE A CHILD
HERBIE HANCOCK (p)
CDP7-46136-2 (BLUE NOTE)
1968

 このセッションの最後は超有名盤です。前の二枚がジャズの妖しさや楽しさを顕しているとすると、これはジャズの知的な面を顕している様な気がします。でも難解さなどはカケラもなく、ひたすら流麗。ハンコックっていうのは、スゴイよ、やっぱり。

 このアルバムが作られた'68年(他の作品と比べるとかなり後年)というのは、ジャズ界が揺れていた年の様です。ブルーノート・レーベルからはその創設者である名プロデューサー、アルフレッド・ライオンが去り、サウンド的には過激なフリーが台頭。何しろ'70年代目前ですから、「ジャズよりロック」という曲がり角の年だったのかもしれません。西海岸系のソフト・ロックが人気を博して「サマー・オヴ・ラヴ」なんて言われたのもこの年だったなぁ...。

 そんな中、マイルス・バンドを辞め、新たな道を模索しはじめたハンコックは、あくまで王道のジャズを奏でました。しかしそれは、今までの古臭いジャズとは違いました。緻密に計算され、斬新さを持ち、そして瑞々しく美しい。オープニング・ナンバー「ライオット」のフルートを聴くと、やはり「ああ、これがモダンジャズだ」と実感出来るでしょう。
 メンバーも最高です。サッド・ジョーンズのフリューゲル・ホルン(トランペットに非ず)が美しく響き、ロン・カーターのベースは...これがまた難しいことやってる(笑)。実はこのアルバムのプロデューサーは、上の『フエゴ』('59)に"新人"として参加していたピアニストのデューク・ピアソンで...なんて興味深い歴史もあります。

 そして音楽同様に美しいのがジャケット。夕景の中、チュウをしているのはハンコック本人と奥さんだそうです。私は今、CDしか持っていないませんが、いつかオリジナル盤のアナログLPを買おうと思っています。このジャケットはアナログ・サイズで欲しい!




ハンコックの
「メイデン・ヴォヤージ」
これも名盤




 この3枚、私の家ではいつでも演奏出来るように、CDプレーヤーのすぐそばに置いてあります。大きなCDラックもあるんだけれど、そこに"戻った"ことはないなぁ...。

 さて次は女性ヴォーカルに浸ってみましょう。ちょっと対照的な2枚をご紹介。ガイド役はひさびさ登場のバカボン・パパです。




女性ヴォーカルを聴くのだ
若いロック・ファンにもオススメの作品もあるのだ






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