Back to the menu

97/08/24
映画館で拍手?!
思わず拍手した
3本の作品

「フランケンウィニー」
などなど




ナイトメアー・ビフォア
クリスマス
(キャニオン)


this is 'SPARKY'.
We love you !
 いつも悩んでしまうんだけど、映画館って拍手してもいいのかな?映画の中の、昔の映画館のシーン(ややこしいな)を観ると、結構拍手しているんですよね。

 例えば名作「雨に唄えば」(52年)では、主人公のジーン・ケリー達が出演した作品が上映されるシーン(ややこしいですが、映画制作についての映画なんです)で、われんばかりの拍手が起こっていたし、95年公開の怪作「エド・ウッド」(やはりこれも映画の映画)でも、エドが監督した作品の上映シーン、56年という設定ですが、でやはり観客達が拍手をしていました。昔は結構していたのかな?うーん、最近、しないですよね。

 でも、過去に3回だけ私も映画館で拍手をしたことがあります。まず1回目は89年のこと。作品は「イージー・ライダー」(69年)でした。この時はちょっと特別ですね。「第一回東京デニス・ホッパー・フェスティバル」のプレミアで、監督と主演をつとめた怪優デニス・ホッパーの初来日、舞台挨拶直後の上映でした。
 本編が終わり、スタッフロールが流れているとき、もう場内の「拍手したい!」パワーが爆発寸前になっていました。そこで、きっかけとなる最初の拍手を始めたのは....実は私なんですが。想像通り場内の全員が一斉に拍手を始め、いつまでもいつまでも鳴りやむことはありませんでした。
 この時は4時間並んで最前列にいたんだけど、隣に座っていた美大のバイカー兄ちゃんがデニスにサインをもらって泣いていた、なんてこともあったな。いずれデニス(最近はバスクリンのアヒルちゃん&ペンギンCMで有名ですね)は特集しましょう。うん、いい思い出です。

 次は95年の初夏、作品は「プリシラ」です。「え?『プリシラ』ってオカマの映画でしょ。拍手する程の名作だっけ?」と思うでしょう。私もそう思っていました。前の回が終わるころ、廊下で待っていると中からどよめきと拍手が聞こえて来て。私に限らず、並んでいたみんなが「おいおい、拍手してるぞ」と驚いていました。しかしこれが約100分後、私達も拍手してしまうんだなあ、爆笑しながら。理由は....死んでも言えません。是非ご覧ください。

 そして最後、3本目は96年1月に観たティム・バートン監督の名作「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」....ではなくて、オマケで上映された白黒の短編「フランケンウィニー」です。これが、本当に素晴らしかった!当日のお目当ては本編「ナイトメアー....」で、実はその後に短編をやるとは知らなかったんです。本編終了、さて帰るかと思ったら突如白黒映画が始まり、なんだなんだと思っているうちに引き込まれて、30分後、大喝采。
 会社の帰りにひとりで観ていて、しかも六本木・俳優座のレイト・ショウでもう12時近かったんですよ。なんとも寂しい館内で、観客もわずか10数名くらい。でも全員が温かく、力強く拍手をしていました。
 フランケンシュタインの犬版パロディーで、つくりはとてもキッチュ(というかチャチ)なんですが、起承転結が見事、特にラストが良く出来ている!なんというか、人々を感動させるのは派手なアクションでも、火薬の量でもナイ、という当たり前のことを改めて実感しました。もちろん制作費でも上映時間でもありませんね。白黒で十分、30分で十分です。

 この作品はレンタル・ヴィデオで手軽に観られますよ。ヴィデオでも劇場版同様、本編「ナイトメアー....」のあとにオマケで入っています。ヨタヨタ走るツギハギの犬'SPARKY'に、あなたもきっと拍手を送ってしまうことでしょう。

 しかし、数百本観て3本か。もちろん名作は沢山あったけど、拍手に結びつく作品って意外に少ないんだな(多分、エンディングのつくりと関係アリ?)。さあ、次に拍手するのはどんな作品でしょうか?






邦画ファン向け追記

名画座で拍手!



 「なにトボケてるんですか、サダナリさん!アナタ、邦画名画座で先頭切ってしょっちゅう大拍手してるじゃないですか!」−上の原稿発表後に邦画ファンの知人からさんざん言われました。すいません、その通りです。この映画コーナーは洋画専門として、邦画は別に書きたかったので、あえてハズしていたのですが...。
 拍手については邦画の方が盛んでしょう!ほんとうに感動して思わず手を叩かずにはいられない様な名作は、洋画よりも邦画の方が多い様に思います。これぞ邦画の底力。なにしろ「いつ、どこで上映しても必ず拍手が起こる」という信じられない様な作品もあるのですから。

 例えば日本映画史上最高の天才監督(と断言)、山中貞雄の『丹下左膳余話・百万両の壺』。上映中は爆笑の渦、途中でも拍手が起こり、ラストシーンでは間違いなく拍手!という昭和10年製作の人情時代喜劇です。ともかくあのラストシーンは映画ファンにはタマラナイですよ!思わず「お見事!」と声を掛けたくなる様な大傑作です。喜劇なのに、感動のあまり目が潤んでしまうんですよねぇ...。
 今年(2000年)念願のニュープリントが実現。画面もセリフも新作同様のコンディションで観られる様になりました。私は新旧両方のプリントを観ていますが、ニュープリントの方をお薦めします。細部まで判って感動も百倍ですよ。

 日本映画史上最高のカルトムービー(と断言)石井輝男監督の『江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間』(昭和44年・東映京都)もラストで必ず拍手が、いや、拍手とどよめきが起こる作品。「パノラマ島奇談」を中心に「屋根裏の散歩者」「人間椅子」など乱歩の作品を無理矢理一本にまとめたカルト中のカルト。「伝説」のラストシーンは...ここには一切書けません。これぞ観てのお楽しみ。
 私はかねがね、映画ファンは『恐怖奇形人間』を観た人、観ていない人の二種類に分類されると考えています。私は...4回も観てしまいました。毎回拍手。同作品と石井輝男監督については来年(2001年)ごろ、「日本映画入門・戦後怒濤編」にて詳細解説の予定。乞うご期待。

 我が最愛の時代劇監督、丸根賛太郎の時代喜劇も拍手を呼びますね。昭和24年の『天狗飛脚』など劇中二、三個所で拍手が起こり、やはりラストでも拍手。後年松竹で撮った『極楽剣法/前・後編』(大傑作!!)の後編「月明の決戦」ラストなども私は大喝采をしたかったのだが...周囲がおとなしかったのでガマンしてしまった。今度は必ず拍手をするぞ!

 ...とまぁ、ちょっと思いついただけでもこんなに。『決闘高田の馬場』(昭和12年/マキノ正博監督/日活)を忘れたか、『独立愚連隊・西へ』(昭和35年/岡本喜八監督/東宝)だって凄いぞ等々、ご意見は尽きないと思いますが、まずは、ここまで。

00/08/27 追記





MENU ・ HOME