川 島 雄 三 図 書 館



古本屋「シネブック」漫歩

中山信如


平成11年10月31日初版
ワイズ出版 \3800


 東京・三河島の古書店主、中山氏が古書店情報誌「彷書月刊」に連載していたコラムを一冊にまとめたもの。「川島雄三をめぐる本」と題する連載三回分の文章が収録されている。映画書から見た川島分析という趣向が面白い。
 第一回は「基本文献」と題してノーベル書房版「サヨナラだけが人生だ」、「ミューズの蹠」などの紹介、第二回はその続きとしてユリイカの臨時増刊やフランキー堺氏の著作紹介。そして第三回は「川島文献にみる誤記誤述誤植考」なる文章になっている。確かに近年の映画本、インターネットなどは誤記・誤述の嵐。こういうオトッツァンがニラミを利かせてくれていると、ちょっとは我々の溜飲も下がろうというものだ...と考えていたが、人ごとではないわな。自分の文章は大丈夫かと、じっと手を見るサダナリであった。
 要するにこのコーナーを拡大したようなものだが、そこは本読みのプロかつ大先輩。その文章は徹底的に精緻で、徹底的に面白い。しかし少々辛口すぎるきらいもあるが...。
 小津、溝口から殿山タイチャンまで、採り上げられている映画人もユニーク。映画同様に映画書も好きという人ならば、まずは必携。






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