川 島 雄 三 図 書 館



銀幕の東京
川本三郎


平成11年5月25日初版
中公新書 \800


 これはもう、川島研究書だ。「黄金時代の日本映画に記録されていた東京の風景を集め、昭和二、三十年代の細部を再現しようとした」とあるが、まず作品別構成となっている前半に掲載された13タイトル中、実に2タイトルが川島作品。上野、浅草など街別構成となっている後半も川島作品のオンパレードであった。本当にこの人は川島好きだなぁ(笑)。
 まず前半で作品として大きく採り上げられているのは『洲崎パラダイス・赤信号』(深川・洲崎弁天町)と、『銀座二十四帖』(銀座)である。特に前者に於ける極めて詳細な分析は本当に素晴らしく、この本を読めば映画が10倍は面白くなる!
 後半部、街と絡めて紹介されているのは『喜劇・とんかつ一代』(昭和38年/東京映画)の上野、『お嬢さん社長』(昭和29年)、『夢を召しませ』(昭和25年)、『とんかつ大将』(昭和27年/いずれも松竹)の浅草など。
 その他、小津、成瀬、黒澤作品についても解説。取材に5年を費やしたという力作で、日本映画ファン必読の書といえる。平成11年春の新刊なので入手は容易。






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