川 島 雄 三 図 書 館



日本映画を歩く

川本三郎


平成10年8月31日初版
JTB \1600


 月刊誌『旅』に於ける評論家、川本三郎氏の連載を纏めたもの。実は最初、川島が出ているとは知らずに購入した。小津の『東京物語』を追って尾道に、木下恵介『カルメン故郷に帰る』の草津鉄道を辿り、成瀬映画の鉛温泉を蔦温泉、今井正『ここに泉あり』に登場する高崎から群馬、再び成瀬の『浮雲』の屋久島...'97年に私が発表した「日本映画入門」とあまりにも作品が合致するのでびっくりして買ったのだ。
 ところが川本氏は島耕二監督の『幻の馬』(昭和30年/大映)を追い、八戸、奥陸奥へ、そして野辺地、むつへと進み、むつ市内徳玄寺にある「映画監督川島雄三の碑」を訪れている。あれよあれよという感じで、さらに驚いた。更に更に雄三の甥にあたる川島晋一氏とも会い、監督予定だった『忍ぶ川』(川島の死後昭和47年に熊井啓監督により映画化)を地元むつで撮ろうとしていたという貴重な談話を得ている。
 川島に対する記述は数ページだが、それを超えて、是非皆さんにお読み頂きたい名著。平成10年初版なので入手は極めて容易である。






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