川 島 雄 三 図 書 館



ユリイカ臨時増刊
総特集 監督川島雄三


平成元年3月25日発行
青土社 \1500(絶版)


 とにかく内容の濃い一冊。『サヨナラ...』との違いはインタヴューを中心に構成されている点と、川島自身による資料的文章が数多く収録されている点か。
 フランキー堺、小沢昭一、西河克己監督、岡崎宏三キャメラマンへのロングインタヴューは撮影、演出の実際を知る事が出来て貴重である。川島自身のエッセイ、ドラマ、俳句、座談会の他、松竹大船時代に発行していたパロディ誌『泥馬クラブ』での戯文、織田作之助との往復書簡もある。
 人選のユニークさも目立ち、岡本喜八監督や演出家・蜷川幸夫氏との意外な関係なども彼らの文章によって明らかになる。さらに昭和63年10月の「下北半島・川島雄三映画祭」で行われた藤本義一氏の講演も完全収録。伝記小説「生きいそぎの記」を補完する更なる姿も見えてくる...等々、とにかく凄い本なのだ。巻末には『人も歩けば』(昭和35年/東京映画)のシナリオが収録されているが、エンディング部分の演出が大きく異なっており面白い。
 やはり絶版のため現在入手困難。大学4年の時(平成元年)に渋谷三省堂の「ユリイカ・フェア」で見かけて長時間立ち読みし、「今度でいいや」と思ったのが運のツキ。ごく最近、非常な苦労をして古書で入手した。出版元にも在庫がないので最近の「ユリイカ・フェア」には陳列されない。A5変版、全320ページ。






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