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98/04/29 第五回 入魂企画 はじめてのJAZZ 世界一わかりやすいジャズ入門 新入生歓迎企画 トーキョー・ジャズ・スポット Vol.1 |
■ 老舗中の老舗は今でも第一線 ここを出さなきゃね。'60年代から営業を続ける、東京一の、いや日本一の老舗、新宿ピットインです。渡辺貞夫(as)、日野皓正(tp)、山下洋輔(p)、坂田明(as)などここから巣立っていった邦人ジャズメンは数知れず。'66年にはドラッグ関係で帰国差し止めになったエイルヴィン・ジョーンズ(ds)が連日出演、渡辺や山下らと白熱のセッションを繰り広げた、などという伝説も残っています。 つい数年前に現在の場所に移転、たしか今回で3回目の移転になると思います。移転工事を手伝っているナベサダなんてのを「フォーカス」で見たな(笑)。現在のピットインのカラーは...いやー、もう完璧なまでに今の、日本のジャズメンをカヴァーしてくれています。このページに出て来た主なプレイヤーは全て出演していると思っていい。中路英明(tb)、大儀見元(perc)、村田陽一(tb)、南博(p)などなど、「サダ・デラで薦めたプレイヤーはここで見ろ!」と言ってしまいたいくらいです。 またここは昼、夜二部構成になっているのも特徴のひとつ。昼の部は2:30〜5:00まで。そして平日ならばなんと\1300でドリンクまで付いてしまう。しかもそれなりのプレイヤーが出ているのだ。懐具合が気になるジャズ研1年生などには最高でしょう!多分、都内で最安値のジャズだ。私は土曜日の昼の部(チャージ\2500でドリンク付き)に行ったことがありますが、良かったねぇ!土曜日の真っ昼間から、小林陽一(ds)のファンキー・ジャズ(笑)。実は移転前は一日三部構成、、11:30、2:30、7:30だったのだ。11:30の回は「朝の部」と呼ばれていた。午前中からやっているジャズ・クラブは世界中でもここだけだったらしい。復活して欲しい気持ちもするが...。 システムというほど難しいものはナイ。ピットインまで前売りを買いに行くか、直接電話予約するかして当日ふらっと出掛ければヨイ。たまに大物外人プレイヤーが来日公演を行うこともある。この時は予約をしておいた方がいいですね。前売りなら\4000〜5000程度、当然「入れ替え」などはなく2、3セットは観られる。ジャズ・クラブの正しい姿と言えるでしょう。 ご注意一点。道を間違えない様にしましょう。下の地図を参考にすればかなりわかりやすいと思うのですが、行き過ぎると大変なことになります。なにしろ場所は「新宿二丁目」、「お、前の男ふたり、ピットインかな」と思って付いて行くとホテルにすっと消えていったりする。本屋だと思った店も、「特殊な本屋」だったり。面白いところに引っ越したもんだ。 |
map & data
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■ カラーはっきり、こだわりのジャズ・クラブ 対する六本木ピットインはある世代にとっては思い入れの深い場所といえるでしょう。私も中学生時代から憧れの場所でした。 クロスオーヴァー全盛の'70年代末、ここはそうしたサウンドの巣窟でした。そろそろ「フュージョン」という言葉も出て来ていたけれど、今みたいに「テクニックだけ」って感じじゃなかったなぁ。例えば伝説のバンド「KLYLN」、リーダーは渡辺香津美(g)、キーボードが坂本龍一と矢野顕子のツイン(ちなみに当時はそれぞれ別な人と結婚していた)、ドラムス村上'ポンタ'秀一...えーい、もう全員書いてしまえ!小原礼(b)、ペッカー(perc)、向井滋春(tb)、清水靖晃(sax)、本多俊之(sax)...いやぁ最高!今や立派なバンド・リーダーとなった彼らはかつてはひとつのバンドでプレイしていたんです。若いジャズ・ファンには信じられないことかも知れませんね。 えい!ごそごそ...ガマン出来ない、'79年発表の彼らのライヴ盤「KYLYN LIVE」をかけながら書こう。録音はもちろんこの六本木ピットインでした。中学2年生の時にこのアルバムの広告を愛読していた「FMレコパル」で観て、憧れました!六本木ピットイン。三浦半島に暮らす音楽に夢中の中学生は「あぁ、どんなところだろう六本木ピットイン。一生に一度でいいから行ってみたい」と思って...もう何回も行っちゃいましたが(笑)。 そうそう、なんとごく初期のYMO、イエロー・マジック・オーケストラもここで演奏していたんですよ。えいえい、ジャケットやら、写真やらも載せてしまえ。 |
名盤 'KYLYN LIVE' 渡辺香津美(KYLYN BAND) 45CY-2375,2376 Columbia ('79/'88) |
KYLYN BAND at Roppongi Pit Inn (June 1979) みんな長髪だが、坂本だけ短髪 しかもスカシている しかしもう20年前なのか... |
思い入れの強さでちょっと文章が乱れてしまいましたが、六本木ピットイン、いいところです。現在もこだわりのラインナップは不変、ソロになったKYLYNメンバーの他、吉田美奈子(vo)、仙波清彦(perc)、和田アキラ(g)、安藤まさひろ(g)など1980年前後を彷彿とさせるメンツが常連として出演しています。 ここの名物がひとりのリーダーがメンバーを代えて連日出演する'4Days'や'5Days'企画。私も「村上'ポンタ'秀一5Days」、「大村憲司(g)5Days」などに行ったことがあります。そうそう、憲司の時は飛び入りゲストで高橋幸宏(vo,ds)が登場して、'80年の名曲「音楽殺人」なんかを演ってくれたのだった。最高のプレゼント!去年の4月のハナシです。 吉田美奈子が名作『KEY』('96)のライヴを演ったのもここ、矢野顕子もいまだにここにこだわっているし...ある世代にとっては、本当に夢のようなジャズ・クラブです。しかし、逆に若い世代にはピンと来ないのかなぁ(笑)。 システム関係を少々説明。人気の公演はチケットぴあにて取り扱いがありますが、直接買いに行った方がいい整理番号が貰えます。夜11時くらいまで開いているので会社帰りに寄るのが賢い。そして当日は整理番号順に並んで入場。この列が大変なんだ。ピットインの横から路地に入り、パチンコ屋の前を横切りさらに角を曲がり住宅街まで延びてしまう。数百メートルはあるかな。ま、「ピットイン名物」といえるでしょう。 あまりの長さに「座れるのかな」と不安になりますが、ボーダーは整理番号150あたり。それを超えると立ち見ですね。細い階段を降りて地下に行き、受付でドリンクの種類を聞かれる、引換券のようなものをもらい一旦奥のドリンク・カウンターへ。ここでドリンクを受け取り席を選ぶ、というダンドリになっています。 新宿、六本木とも私が感心しているのは「徹底的に音楽を聴かせること」に徹していることです。度々例に出して申し訳ないけれど、都内三田にある某「三○倶楽部」−ドリンクのみならず、ひとり料理一品の注文が必須。そんなシステムここだけ。ブルーノートよりスゴイよ−みたいに音楽を聴かせたいのか、オーダーで儲けたいのかよくわからないようなところとは対照的ですね。私がピットインに惹かれる理由はそんなところにもあるのかもしれません。ジャズはスカシの道具じゃない、私はとにかくガツガツと「音楽」が聴きたい。ピットインはそんな欲求に見事に応えてくれます。 ここ六本木ピットインも、六本木交差点から飯倉側に数百メートルという超一等地にありながら、徹底的に音楽指向。\3000〜のチャージにはドリンクも含まれていますから、出費はそれだけ。人気の公演は立ち見だったりするので、追加オーダーなども出来ず、ひたすら「音楽を聴くこと」に集中します。憲司やポンタといった一流プレイヤーでも\4000程度、7:30スタートで11:00ごろまで演りますね。本当に音楽が好きな人に、自信を持ってお薦めします。 ああ、電気の入ったこのへんの音が恋しくなった...サカモトの『サマー・ナーヴァス』と『千のナイフ』でも聴いたろ。しかし、ハードパップだのファンキーだのと言ってるけど、実はサダナリのルーツはこのへんの'80年代もの、特にサカモト、しかも『音楽図鑑』だ(いや『左うでの夢』も捨てがたい...)。 |
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えーと、実は「出し惜しみ」してます(笑)。本当は教えたくないくらいの、「サダ・デラ」特選ジャズ・クラブを最後にご紹介しましょう。意外な場所、意外な雰囲気です。 |
クラブはあと2軒
レレレのレ〜
超オススメ、サダナリも頻繁に出没してます
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このページは作者・定成寛の個人的感想を記したものです
ピットイン・ミュージックとは全く関係ありません